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帰りの電車は、いつものように生徒とおっさんでぎゅうぎゅう。
私の手には生徒手帳が２つ。
私のと、
…考えたくない。
自分から、人の方程式にはまりたくない。
しかも、あんな人気者。
世界には、2種類の人がいる。
私に気付かない生き方をしてくれるひと。
私の方程式にずかずか入り込もうとしてくるひと。
あのモテモテ二宮くんは、黄色ガールズににやにやも、にっこりもせず、無視に近いことをしていたから、前者かもしれない。
でも、人気者は危険だ。
自分のことを好かれて当たり前、とか思ってるかもしれない。
いや、大体の顔がいい人は、そういう人間出来上がる。
でも私は明日、そういう人間であろう彼に、私に似た手帳を渡さなければならない。
図書室で、周りに黄色い女子を寄せ付ける、台風の目みたいな彼に、渡さなければ、と思ったけれど、渡せなかった。
でも、渡さなければならないときは、いつにしろあるんだ。
それが遅れれば遅れるほど、二宮くんに迷惑がかかる。それだけのこと。
だから私は、偉業、いや、異業ともいえるソレを、成し遂げなければならない。
ふぅ…と、ため息をつく。
決意の深呼吸のつもりだったけれど、うまく行かなかった。
よし、もう一度。
「すーはっ！？」
はーと息を吐こうとしたその瞬間、手に持っていた手帳を後ろから取り上げられたので、深呼吸は、マヌケな声となってしまった。
「これ、何？、あなた、なにしてんの？」
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作者名：まっかーさー | 作成日時：2018年1月30日 19時
