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「っ!!」
カラ松くんは顔を上げおそ松くんを見た。
そして心配そうな顔をするおそ松くんを押し退け、そのままどこかへ掛けて行った。
「追いかけなきゃ、おそ松くん走れる?」
おそ松くんは固まっていた。
「おそ松くん?」
そう声をかけると、彼はこちらを見て瞳にいっぱいの涙を貯めた。
ま、待ってここでその顔はちょっと不味い。
ギャン泣きする。
ギャン泣きしちゃう。
「うぇぇぇえええええええええん!!!」
しちゃったぁー!!!!
「おそ松くん落ち着いて?ね、ね?」
荷物を床に置いておそ松くんの前に座り涙をハンカチで拭う。
頭を撫でたりして慰める。
「だっこぉぉおお」
「抱っこ!?」
待って今大きな荷物降ろしたばかりで腕パンパンなんだけど。
ほらよくあるじゃん。
重い荷物下ろしたら腕が死ぬほど疲れること。
今それが起きてるんだよ!!
「うぅう」
「ああ分かった分かった。
分かったから泣かないで〜。
ほら!抱っこ〜!」
ぐぬ。重い。
でもまだ、まだ小学生に上がってないし。
まだ抱っこしてもいい年頃のはず。
世の中のお父さんお母さんはこのくらいの子も抱えられるなんて素晴らしいよ。
私にはキツイけど。
「うぇええん」
肩がじんわり濡れていく感覚がする。
うーむ。
一体なぜおそ松くんは泣いているんだろ。
カラ松くんに無視されたから?
押し退けられたから?
てかあのカラ松くんとても身長が小さかった。
なんならおそ松くんより小さいか同じくらい…。
え。
心配なんだけど。
あのくらいの子がこんな人の集まっている場所に来るなんて危なすぎない?
変な人に連れ去られちゃうよ。
怪しい人にも連れ去られちゃうよ。
ど、どうしよう。
追いかけなくちゃ。
でも、今おそ松くん泣いちゃってるし。
荷物も置いていけないし。
どうしよう。
「ん?やっぱりAじゃん!!」
こ、この声は。
「店長さん!!」
店長さんだ!
すっごいだらしない格好してるけど、店長さんだ!
「なんかお困り事?手伝おっか?」
この時だけは店長さんが神からの使いに見えた。
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作者名:(▽)chocolate_tea | 作成日時:2023年9月2日 18時