【今日から俺は！！】軍神かぐや (ページ27)

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Black Bride ページ27

だんだんと春が近づいてきて
突き刺すような寒さも和らいできた。

出会ったのも春だった。
あいつが結婚するのも、春だと言っていた。

タイムリミットが
恐ろしい勢いで近づいている。

「相良さん！」

どうにかしたいのにどうにもできない、
そんなもどかしさを弄んでいたある日のこと。

あいつが来なくなって静かなたまり場に
下っ端の一人が駆け込んできた。

「姉貴が働いてる結婚式場に…！
Aさんらしき人が…！」

今、何つった？

Aらしきやつがいただと？

「どこの式場だ！？早く言いやがれ！」

「落ち着け、相良。まずは詳しく聞くことの方が先だ」

智司に宥められ、仕方なくソファに座り直すと
やつは話の続きを始めた。

「俺の姉貴、その式場でプランナーをしてるんです」

「そのナリで姉がプランナーだと？」

「…姉弟でも似ない部分はあるんすよ、智司さん」

その姉貴とやらの話によると

『最近担当してるお客様に全身黒ずくめの女性がいる。

格好は黒いけどお顔立ちは美人だから
いかついというよりかっこいいという印象。

式場の下見や打ち合わせで、話しかければ
基本的に愛想よく返事をしてくれるが
時折寂しそうな表情をされる。

本当は結婚に乗り気でないのではと気になっている』

とのこと。

「大丈夫なのかよ、その姉貴。仮にも客の個人情報だろ」

「知り合いかもしれねぇって
必死に姉貴を説得して聞き出しましたっす！
で、こそっと見に行ったら…」

「Aだったわけか」

やっと見つけた、奪還の手がかり。

「どうする？奪いに行くか？」

「ああ。式場の場所教えろ」

今度は

何があっても離さねぇ。

離してやるもんか。

絶対に。