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「その手を離せ」





低い声と共に後ろから伸びてきた細くて強い手。


後ろを振り返らずとも、誰かはわかった。





「お、お前は...!」



「晋助...!」





名前を呼んだら、腰が抜けてしゃがんでしまった。



いつまで待たせやがるんだお前ェは



と、少し怒りを含んだ返事が帰ってきた。





「お、お前がいるせ、せいで、Aさんは...!」





晋助を指さしながら怯えて後へ下がる男子。


その男子に晋助はゆっくりと近づいた。





「ひ、ひぃ...」



「...2度と、Aにこんなのとすんじゃねェ」





そう言って晋助は、男子を殴ってしまった。





「あーあ、やっちゃった...


停学中なのに問題起こして、どうなるかしらないよ」



「ほっときゃァいいだろ。


元はと言えば何も言わなかったお前が悪ィからな」



「う"...」





正論な為何も言い返せない...



口を抑えてなんて言い訳しよう、と考えていれば、


晋助は今度、私の方へ近づき、しゃがんだ。





「...腕、痛むか」



「え?あ、まあそこまでは痛まないけど...」





少し悲しそうな表情で跡を見つめる晋助。



...晋助が気に病むことじゃないのになあ。





「...行くぞ」



「え、どこに?」





急に言われた言葉に反射的に返せば、


「保健室に決まってンだろ」と帰ってきた。


保健室に行けばツッキーがいる。



たしかに、ツッキーに看病して貰おう!



と思い、晋助について行った。





「停学中なのバレるよ」



「お前が交渉しろよ」



「仕方ないなあ...」





実はと言うと、ツッキーは私の古い知人なのだ。

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作者名:煎餅 | 作成日時:2019年6月16日 20時

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