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「A!用事もう終わったアルか!」
万事屋というところに来て早々酢昆布娘に抱きつかれた。
暇な時間が長く続く予定のため、仕事が終わってから来ようと思っていたが、先にお礼とやらをしてもらいに来た。
ついでに言うと、前話から1晩たっている。
「神楽ちゃん、お客さん困ってるよ」
そう言ったのは私を中へ通した眼鏡。「依頼ですか?」とインターホンを押した時聞かれたため、おそらくここの社員なんだろう。
...となると社長は誰なのだろう。
流石に神楽も社員なのならば、客の御出迎えなど社長はやることはないだろう。
「誰だ、そいつは...客かァ?」
「お客じゃないネ!私の恩人アル!」
トイレから銀色の髪の奴がでてきた。神楽は「銀ちゃん」と呼ぶため、店の名前が“万事屋銀ちゃん”だから社長なのだろう。
_____すごい駄目人間の雰囲気がするけど。
「銀ちゃん!私Aと一緒に遊んでくるアル」
「おーおー、勝手に行け。俺は二日酔いで頭いてェんだ。うるさいのはさっさと外で遊んでこーい」
そう言って万事屋の(多分)社長は隣の部屋に入って行った。
_____別に万事屋に依頼があって来た客ではないけど、家に訪ねて来た客に普通あんな態度をとるか。
そう思ったが一応口には出さないでおく。
「ほんと、銀ちゃんはダメ人間アル」
雰囲気に出していたかは知らないが、神楽のその言葉の後に眼鏡もちゃんと謝ってきた。「ダメ人間」など言って貶してはいるが、あの銀髪のことを大事に思っているのだろう。
この万事屋の雰囲気は甘ったるくて、どこか暖かい。
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作者名:煎餅 | 作成日時:2019年5月24日 20時