3年A組ー傷だらけの悪魔ー (ページ3)

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ローファーを上履きに履き替えて早足で廊下を歩いていれば目の前に担任教師の柊一颯とクラスメイトである茅野さくらの姿が見えた。

「･･･大丈夫ですか？」

「いいから。チャイム鳴るよ。」

どうやら台車に積まれた大量のダンボールを倒してしまった柊先生にさくらちゃんが声をかけたらしかった。

「あ･･･、じゃあ･･･。」

彼女は積み直すのを手伝おうと思って声をかけたんだろうと思うが少し威圧的な物言いで時間を指摘してそれを断った柊先生。

内気なさくらちゃんがそれに勝てるはずもなく、彼女は近くにある時計を確認してから先生に頭を下げて教室に向かった。

『おはようございます、先生。』

「ああ、都築か。おはよう。」

柊先生のいる所まで歩き、隣にしゃがんで挨拶すれば私の方を見て先生も挨拶を返してくれる。

『雑用、押し付けられたんですか？』

「･･･お前こそ。寝坊か？」

図星だ。

『してません。手伝いますよ、それ。』

寝坊を言い当てられたのが恥ずかしくて話を逸らすためにダンボールに手を伸ばしたがその腕は先生に掴まれて阻まれた。

『･･･何ですか？』

先生は優しい笑みを浮かべて私の胸下まであるミルクティーブラウンの髪をサラリと一房手に取った。

「お前寝坊した日はいつも髪下ろしてるだろ。」

『･･･よくおわかりで。』

私が髪を結んでいない理由はバレているらしい。

そのまま先生はメガネを外して顔を近づけてくる。

美の暴力！！！

動揺して思わず地べたに尻もちをついて廊下に手をつけば先生は楽しそうに笑って私の耳元で、

「メイクも薄いから顔が幼い。」

と言った。

『馬鹿にしてるんですか？』

平静を装ってそう返せば柊先生はもっと距離を縮め、空いている手を私の頬に滑らせる。

『･･･っ！』

「俺は可愛いと思うが？」

『っ･･･からかわないでください。』

「至って真面目だが。」

『もうっ！！手伝ってなんかあげない！』

私は先生を押し退けて鞄を掴むと逃げるように走って教室に向かった。