幼馴染。 ページ19
．
A.side
隣にはAが座っていて
その向い側に座るのが目黒先輩
そして、私たちの席の周りには殺気ダダ漏れの
先輩を狙う女たちの席で囲まれている
視線という視線が四方八方から突き刺さる
ひどい嫉妬の眼差しで
普段はこの圧全てがA一点に降り注がれてる
そう思うとイケメン幼馴染もいかがなものかと思う
大学に入って間もない頃は、周りの子みたいに
先輩にキャーキャー言ってる自分もいたけど
段々とAと行動を共にするにつれて
本人ほどじゃないけど目黒先輩がどんな人なのか
わかってきた気がする
確かに先輩は眉目秀麗で
溢れそうなテストステロンしてるけどさ
それでもこんな見ず知らずの女の人たちから
毎日のように敵視される状況は耐えられないな
そう思うと、忌み嫌っているAは
言っている割に本心はそこまでではないのか
腐れ縁のような関係だから致し方ない気もする
「なんかAのこと尊敬してきた」
日替わりランチの温玉カレーの黄身を崩して
自分と関係のないことで物思いにふける
『どこがよ、尊敬できないよ』
隣のAは丼物を丁寧に口にしながら
薄ら笑いを浮かべてそう答える
最近別れた彼氏は詐欺師だし、
今までも、ろくな奴と付き合った経験のない
そんな私でもわかるよ
Aはかなりの勘違いしてて拗らせてるけど
先輩は心の底から思えるいい人
Aから聞く話の中で、たまに行き過ぎた
ストーカー紛いな愛情もみえるけど
愛ゆえのものって感じる
どれだけ好意を向けても相手は脈なし
そんな中でこんなに一途に想えるって
先輩のメンタルがすごい
気付いてないだけな気もするけど、、
あんまりお節介はしたくないし
人の恋路に足を入れるのも私は嫌だけど
このままじゃ、ふたりとも色んな意味で鈍感だから
ずっと進展しない気がする
なんだか最近、本気で落とす宣言をされたらしいが
ここ何年と現状維持だった先輩に
そんな大胆なことできるのか怪しいもんだ
と、言うことで助け船を出そう
友人を裏切るわけではないそこは決して違う
「夢の国のペアチケットがここにあります」
『ん？』「え！」
片方は露骨に嫌そうな表情で
もう片方は期待の笑みを浮かべる
「元彼と行くはずだったけど
なんか使うの忍びなくてさ、貰って欲しいな」
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作者名：南の島 | 作成日時：2020年2月23日 14時
