2個上の幼馴染くん。【Ren.M】 (ページ17)

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幼馴染。ページ17

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Ren.side

初めてここに来たときも思ったけど雰囲気がいい

机や椅子、店の中の家具は彫り細工が施され

シックなデザインの黒で統一されている

席からカウンターやサイドチェストを覗けば

動物や天使の型をした陶器の小物が飾られている

『蓮くんにしては、いいお店知ってるじゃん』

小さめのティーカップを両手で啜るように飲む

そんな姿がまた可愛らしい

「この前来たとき、次はAと来ようって思って」

『ふーん、、』

あれ、ちょっと不機嫌になった？

普段から合ってないけど、今目を逸らされた気がする

「ちゃんと康二くんと来たからね？」

『別にそんなの聞いてない』

でもついさっきまで険しい顔してたけど

今はちょっとホッとした表情をしてる気がする

素直じゃないな、って口を滑らせれば

机の下でつま先を結構な加減で踏まれた

コトンｯと、注文したタルトとモンブランが届く

お皿から力が入っていて

淡いエメラルドグリーンの色合いが可愛らしく

その上のタルトも果実がごろっとしてて美味しそう

小一時間、ケーキと紅茶を味わいつつ

何気ない会話をする

昨日見たテレビが面白かったとか

課題が多すぎる教授の愚痴とか

Aちゃんの元カレが結婚詐欺師だったとか

そんな他愛もない話

かなり久しぶりに面と向かって

こんな長い時間過ごしたことに笑みが溢れる

帰り道、店にいたときは今までにないくらい

会話が弾んだのに対し今はその逆

シンとした静けさに包まれる

やばくない？、もうお互い喋らなくても

そんな空間でさえも心地良い関係ってことだよね？

もう結婚するしかないじゃん

互いの家の前まで来て

Aは家の敷地に入ろうとしている

話すタイミングがうまく掴めなくて、

もう帰りそうな空気に切羽詰まって呼び止めた

「ねぇ、本当に付き合おう」

「ちゃんとAの彼氏でいたい」

『それは、』

多分だけどAの言葉の続きは

出来ないとか、無理とかって続くんだろうな

実際わかってる、どんなに能天気な俺の頭でも

何となく好かれてないんだろうなって

むしろ嫌われてる方だと、つい昨日理解した

「あと3週間の間にAに決めて欲しい」

「恋人関係を継続するか、しないか」

だから

あとの恋人ごっこ期間は

「本気で落としにいくから、覚悟しといて」