お隣さん。 ページ16
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ことあるごとに蓮くんが私の隣にくる。
コマが被る度に私の隣を占拠するし
たまには大学のカフェで昼食をと思って
Aちゃんとご飯を食べていても相席してくる
構内で見つかりさえすれば
いつでも、どこでも基本トイレ以外ついて来る
そのせいで女子からの視線が痛い
隣の能天気は気付いてないけど
私が聞こえているのを理解した上で
すれ違うたびに呟かれる陰口に嫌気を感じる
こんなにべったりくっついててなんで気付かないの
ほんとに私のことしか眼中にないのかな
全然嬉しくないんだけど
私と蓮くん、ふたり横に並んで
険悪な構内を後にする
「ねぇー、この後暇でしょー？」
てっきり駅に向かって帰路につくと思っていた
「デートしよ？てかしたい、行こう！」
私の手を引いて青春でもないのに
駅と真反対の方向へ走り出す
体感的に5分くらい風を感じた
ちょっと走っただけで少し汗ばむ陽気
だけど走ってる最中の涼やかな風は悪くなかった
途中これ走る意味あるのかなって思いもしたけど
目的地に着いようで足が止まったと思えば
目の前には外観から小洒落た喫茶店がある
蓮くんにしてはセンスがいい
そもそもそれがあるかないかなんて知りもしないけど
駅方面の店とかはよく行くから知ってるけど
反対側は中々足を踏み入れないからなんか新鮮だな
期待とワクワクが高まる
「暑いしお腹空いたし、入ろ」
扉を開けて先にどうぞと言わんばかりに
入り口横によけて私を先に中に入れてくれる
こういうのも経験値が物語るのだろうか
経験不足な私にはわからないけど
さり気ない気遣いにちょっと感動する
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作者名：南の島 | 作成日時：2020年2月23日 14時
