【３年A組】雨のち晴れ Ⅱ (ページ2)

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「景山はお前を恨んじゃいなかった。

" 私がいけないの "って" 何も言わずに香帆を拒んで、ちゃんと伝えていればよかった "って" 友達が欲しかった "って。

" 私は香帆と本当の意味での友達になりたかった "ってそう言ってた」

宇佐美の瞳からどんどんどんどん涙が溢れ出していた。
彼女に寄り添って、涙を拭ってくれる少女は他の誰でもない。景山ただ一人だ。
でも、景山はもうこの世にはいない。何とも言えない悔しさが宇佐美を襲うのだろうか。

「いいか宇佐美、お前はそんな彼女の気持ちを踏みにじったんだ」

宇佐美は泣き崩れた。
センセイはそっと宇佐美から離れたが、彼女は構わず泣き続けた。

「それが【痛み】だ。その痛みを、一生忘れんなよ！」

センセイの言葉はやはりどこか尖っているようで、温かい。つうっと染み渡っていく。そんな気がする。だからきっと、宇佐美にも澪奈の思いも、センセイの伝えたいことも届いている...。

「澪奈がこれをくれたとき、言ってたよ。私の大切な友達が好きなキャラクターなんだって。
･･････澪奈はずっと友達だと思ってたんだよ」

いつの間にか、宇佐美の傍には茅野がいて、彼女がずっと握りしめてたハンカチは宇佐美の手の中にあった。
茅野の言葉に宇佐美はさらに涙を流した。

((澪奈のハンカチ可愛い～！！))

((香帆が、宇佐美さんが好きなキャラクターなの...さくらともお揃いなんだ))

あの時、彼女が、景山が見せてくれたハンカチは、てんとう虫のアップリケがついたピンク色のハンカチだった。･･････お揃いって色違いか。あの時も、茅野に少し妬いたっけ。ははっ...

センセイは宇佐美と茅野のやり取りをしばらく見つめてから全員に声をかけた。

「今日の授業はこれで終わりだ。お疲れ様」

センセイは頭を下げ、準備室へと戻ろうとした。そんなセンセイを止めたのは、やっぱり逢沢だった。

「待ってください！景山が自サツした理由が分かったんだから、僕たちを解放してください！」

「まだだ。あの動画を作ったのは別の人間なんだよなぁ？誰がどういう意図で作ったのか、それがわかるまでは俺の授業は終わらない」

そういって、センセイは準備室へと姿を消した。教室には宇佐美の嗚咽(おえつ)だけが響いていた。

「あのさ―」

「A、ちょっと話がある」

兵頭が話しかけてきたが、彼が何かを言う前に甲斐に腕を引かれて、皆からは少し離れたところへと連れ出された。