恋の七星召喚【原神/セノ】

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国を追われたというよりは、正体不明の集団によって国にいられなくなったという方が正しいかもしれないけど。



「それからその恩人の方とは…？」

「ガンダルヴァー村で仲良くなった方に聞いてみたんだけど、あっちが望んでないからって何も教えてもらえなくて。一緒にいた時は塞ぎ込んでたから布を被ってて…その人の顔もよく見えなかった」



キャンディスがアクションカードを出す。そうして大マハマトラのキャラカードがこちらの白鷺の姫君を攻撃してきた。



「あっちが望んでないのは分かってるんだけど、それでもあの時のお礼が言いたくて。だから、七星召喚の大会に出てみたんだけど……」



中々上手くいかないものだ。その恩人が出場していたとしても、予選敗退しては意味が無いのだから。

白鷺の姫君が元素爆発を発動して、凍結反応を起こす。恩人に会いたいのに立ち往生している私みたいだ。



「Aさんがご自身のことを話してくださって…私は嬉しいです。貴方がアアル村の一員として頑張ろうとしてくれているのが分かりますから」



ふふふ、と気品溢れる笑い声を上げるキャンディス。かわいい。

それから、僅かな差でキャンディスに勝利した後に、「そういえば──」と彼女が立ち上がる。



「Aさんにおつかいを頼みたいんです」

「おつかい？」

「はい。アザライさんのところに行って、香辛料と小麦粉を買ってきてくださいませんか？」



普段なら嬉々として受け入れるのだが、セノさんの言葉が脳に蘇ってすぐに頷けない。けれど、おつかいなら少し外に出る程度だし、セノさんにお世話にならなくてもいいだろう。



「分かった。行ってくるね」

「はい、お願いします」



念の為に渡されたメモを持って家を出て、何層か続く階段を下りる。そこから少し下れば、快活に笑うアザライさんと目が合う。

欲しいものを伝えると、鼻の下の髭をぼそぼそと動かしつつ、指定の量を渡してくれた。「ありがとうございます」とお礼を言い終えるより先に、少し向こうの方から悲鳴が上がった。




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