・ ページ8
.
それからお互い朝ご飯がまだということで、プスパカフェにて食事を取ることとなった。セノさんが奢ってくれるということなので、食べたいものを食べようと思う。
「美味いか?」
「はい、美味しいです!」
パティサラとスメールローズが絞り込まれた、紫色のパティサラプリンを頬張る。口当たりが柔らかくとても甘いこのデザートはスメールで人気らしい。
「セノさんが食べているものはなんですか…?」
「これはナツメヤシキャンディだ。デーツやスメールローズが詰まった砂糖菓子なんだ」
甘いもの好きなんですか、と聞くと、味のついているものなら食べると返ってきた。多分私が思うより過酷な食生活をしていたのかもしれない……。
┈┈┈┈┈
七星召喚プレイヤー兼マハマトラのナヤブさんと七星召喚の対決をしたり、代理店長であるエンテカさんの話を聞いたりと楽しい時間を過ごした。
そろそろ移動しようとお店を出た途端、おびただしい人混みに流されてしまう。掻き分けきれない人波に揉まれながらセノさんの姿を探していると。
「A!」
褐色の手がこちらへ伸びてきて、それを握った。間もなく、人通りのない店の方へ避難できた。
「この人混みは一体……?」
「恐らく璃月からの観光客だ。最近、スメールの観光ツアーができたし、今日が特売日なのもあるだろう」
この人混みを予測出来なかった俺の落ち度だ、と頭を下げられてしまったので「全然大丈夫です」と顔を上げてもらう。気づけば繋いでいたはずの手は離れていて。
「私の名前、ご存知だったんですね」
「キャンディスが呼んでいたからな」
「…たしかに」
だけど初めて名前を呼ばれたから、なんと言うか、少し驚いてしまったのだ。
「行きたい店はあるか?」
「装飾品を売るお店はありますか?ネックレスとか…」
「ああ、案内する」
言って振り向いたセノさんが左手を差し出す。
「…手を」
「……?」
「握れば、危なくないだろう」
セノさんが微かに口角を上げて微笑んでくれたような気がして、差し込む陽の光と共にその手を握ったのだった。
.
155人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
咲原(プロフ) - まるさん» 読んでくださり光栄です。。!ありがとうございます(˶' ᵕ ' ˶)! (8月13日 12時) (レス) id: 2d2082fe5f (このIDを非表示/違反報告)
まる - 最高でした!!お疲れ様です! (8月13日 6時) (レス) @page48 id: 626fa9ab7b (このIDを非表示/違反報告)
咲原(プロフ) - あいうさん» ご覧頂きありがとうございます!元ゲームの雰囲気を壊さずに慎重に書いていましたのでそう言っていただき光栄です……!自分らしく執筆を頑張りますね! (2023年2月21日 16時) (レス) id: 2d2082fe5f (このIDを非表示/違反報告)
あいう - セノの小説あまり無かったのでめっちゃ嬉しいです!話しも自然ですごいです。めっちゃ好きです。自分のペースで更新頑張って下さい!応援してます!! (2023年2月20日 1時) (レス) id: 914ffe60d8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:咲原 | 作成日時:2023年1月19日 12時