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それでも、あれだけ狛枝くんのことを見ていたはずの私は、狛枝くんのことを知っていると胸を張って言えない。彼のことを知り尽くしている訳じゃない。


「かわいい、キミの希望に溢れる瞳が好きだ」


そうして引き寄せられるように、唇を重ねた。

重ねて埋まった隙間が生まれれば、また埋めるように角度を変えて唇が迫る。やがてお互い食むように口を貪っては、感触を刻むように、遺伝子を分け合うように。


「…っ、んぅ…は、」


温度が上がる。口から零れる、耳まで届く。

顎を伝う涎は私たちの間、とかそんな距離もないほどの私たちに零れた。汚れていく。狛枝くんに汚されていく。そんな事実をただ只管に享受する私は。もう私は。彼は。


「…うぁ…っん、ふ…ぁ」


両頬を撫でる彼の指の腹と、密着する全身が優しくて暖かくて、私を駆り立てる。狛枝くんとしたいこと、狛枝くんからもらいたいもの、狛枝くんにあげたいもの。きっと全てを成し遂げることができる。

彼の舌は私の舌と絡んでは、時々咥内を蹂躙しては歯列をなぞる。それから生まれる熱や欲に、私は従順になるしかないのだ。狛枝くんの前では、全てを受け入れる哀れな私になるしかない。


「…ん、んぁ…っや……」


彼の前ではどんな私にでもなりたいとか、そんな恥辱、彼なら喜んで受け入れるなんて。心まで心酔した人の前ではこんなにも愚かになるのかと。


「っあ、…こまえだ、くん……」


長いキスの余韻に浸る暇もなく、狛枝くんは私の首筋を伝って鎖骨の方へ顔を埋めてきた。服で閉じられていた先は簡単に解かれて、そこに狛枝くんの感触を覚える。


「や…な、に……?」


ちぅ、と水音が響いて、混乱する思考の中で狛枝くんに見上げられた。その瞳に吸い込まれそうな感覚に心臓は大きく跳ねて。


「ボクだけの希望になってよ」


肩で息をする私にまた「かわいい」と呟きながら、私を見つめる。


「うん」

「………」

「狛枝くんだけの、希望になるよ」


狛枝くんの希望に満ち溢れた、黒黒とした瞳が好きなんだ。



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◇(天海)→←◆



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咲原(プロフ) - ももかさん» リクエストありがとうございます!申し訳ありませんが、別の短編集にて書かせていただきますね。お手数お掛けします。。! (11月25日 13時) (レス) id: 2d2082fe5f (このIDを非表示/違反報告)
ももか - 夢野秘密子ちゃんと夢主ちゃんが恋愛をしていて...恋人で両ヤンデレのお話が見たいです...!! (11月11日 13時) (レス) id: dc5ce1bb66 (このIDを非表示/違反報告)
咲原(プロフ) - ♡さん» 確認が遅れてしまい、申し訳ありません。大変有難いお言葉です……(;;)!リクエスト了解致しました! (9月27日 20時) (レス) id: 2d2082fe5f (このIDを非表示/違反報告)
- 初コメ失礼します!咲原さんの夢小説めっちゃ好きです!!あの…もしよろしければゴン太くんのやつみたいなキュンキュンする真宮寺くんの夢小説書いてくださりませんか…? (8月20日 1時) (レス) @page27 id: 1e4698083a (このIDを非表示/違反報告)
咲原(プロフ) - オンブルさん» オンブルさんお久しぶりですー!リクエスト了解致しました!気合を入れて甘く仕上げさせていただきますね。。! (8月13日 12時) (レス) id: 2d2082fe5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:咲原 | 作成日時:2022年12月5日 18時

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