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◆Peach P!nk(王馬) ページ1

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黒いマスクを着け、帽子を目深に被り街を歩く。

彼からの気まぐれな呼び出しに飛び付いて、支度もろくにせず家を出てしまう。だから今日はせめて、と頬にピーチピンク色のチークを仕込んでみた。少しは驚いて、私自身を見てくれるだろうか。


「──オレンジジュースと、炭酸と、葡萄グミ」

「うん、高宮ちゃんにしては上出来だね」


褒めてあげるよ、不敵に笑う王馬くんは相変わらずである。ただの同級生であるはずなのに、構成員の方と肩を並べるほどのパシられ具合の理由は明白かもしれない。


今現在王馬くんに人質に取られている大学ノートは、私が考えたオリジナルの少女漫画のようなものが描かれている。

「これバラされたくなきゃオレの言うこと聞いてよ」口角を上げた王馬くんの脅しに従うしかなかった。


( 今日は返してもらえるかな……。)
そんな期待も込めながら彼の元を訪れるのだが、この関係が終われば王馬くんとの繋がりがなくなってしまうと不安にもなる。

だけれど、もしかしたらこれからもこうして会うことが許されるかもしれない。少女漫画を描くほどの妄想癖は恋愛ごとにも反映されてしまうようで、そんな淡い期待が胸中に芽生えるのだ。


「グミ食べる?お腹減ってない?」

「じゃあ一つ貰う」

「はい、どーぞ」


差し出されるグミを受け取る。マスクを外して、その甘味を受けた。


「もうそろそろ、この関係も終わりでいいかな」

「──え」

「これ返すね」


結構面白かったよ、とヒラヒラさせたノートを受け取る。関係を絶たれたと悲観するよりも、寧ろこれから新たな関係が始まるのかもなんて希望的観測をしてしまう。


「もう来なくていいよ」

「え…」

「え?なんで残念そうなの?ずっと嫌そうにしてたじゃーん」


王馬くん曰く、まるで上司と部下のような関係を私が気に入らなさそうにしていたからと言うのだ。

王馬くんから関係解消を言い渡してきたくせに私に責任転嫁するなんて狡い。それとも彼が上司と部下で言う上司に当たるからだろうか。



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咲原(プロフ) - ももかさん» リクエストありがとうございます!申し訳ありませんが、別の短編集にて書かせていただきますね。お手数お掛けします。。! (11月25日 13時) (レス) id: 2d2082fe5f (このIDを非表示/違反報告)
ももか - 夢野秘密子ちゃんと夢主ちゃんが恋愛をしていて...恋人で両ヤンデレのお話が見たいです...!! (11月11日 13時) (レス) id: dc5ce1bb66 (このIDを非表示/違反報告)
咲原(プロフ) - ♡さん» 確認が遅れてしまい、申し訳ありません。大変有難いお言葉です……(;;)!リクエスト了解致しました! (9月27日 20時) (レス) id: 2d2082fe5f (このIDを非表示/違反報告)
- 初コメ失礼します!咲原さんの夢小説めっちゃ好きです!!あの…もしよろしければゴン太くんのやつみたいなキュンキュンする真宮寺くんの夢小説書いてくださりませんか…? (8月20日 1時) (レス) @page27 id: 1e4698083a (このIDを非表示/違反報告)
咲原(プロフ) - オンブルさん» オンブルさんお久しぶりですー!リクエスト了解致しました!気合を入れて甘く仕上げさせていただきますね。。! (8月13日 12時) (レス) id: 2d2082fe5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:咲原 | 作成日時:2022年12月5日 18時

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