わけあり少女、ガラルへ【second】 (ページ16)

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#弱味ページ16

ざぱあんっ！と水しぶきが上がった。

見上げれば青いクジラのような大きなポケモン。ジュカインもボールから出てきて、私の前に立ちはだかった。

不意にジュカインが私の前からどいた。カイオーガはゆっくり近づいてきて、私の前で止まった。

「……わざわざ来てくれたの……？」

ホウエンから、ここに……？

私はカイオーガを捕まえたわけじゃない。でもここに来てくれたのには、何か理由があるの？

ジュカインが静かに頷いた。……いいのかな。

「ありがとう、カイオーガ……少しだけ、力を貸して……？」

額をカイオーガにくっつけて、エネルギーチャージをしていた。カイオーガは不思議だ。あったかいし、力をくれるんだから。

「……よしっ」

頬を2回叩いて、ジュカインをボールに戻した。カイオーガのおかげで火事も収まったみたいだし、もう一度ナックルシティに戻る。

「ラティアス、お願い！！」

「ティアっ！！」

力強く頷いてくれたラティアスを頼もしく感じて、それと同時に嫌な予感もして、心中穏やかではなかった。

ダンデ兄は確かに強い。

チャンピオンになってから公式戦では負けなし。チャンピオンの座は誰にも譲らなかったとキバナさんから聞いた。

そんなダンデ兄なら……と甘えたくなるけど、ぐっと堪える。

さっきダンデ兄は私のことをはっきり妹だと言った。

私のことを育ててくれた人の情報を得ているということは、ダンデ兄に不利になる情報を持っていてもおかしくはない。

それにさっきの会話で、ダンデ兄を揺さぶれる話題はなにか、あの委員長は気づいてる。

「……タチの悪い……」

人の弱味を握って使えるだけ使って、自分では汚さない。ムダに賢い頭を有効に使えないと、こういう人ができる。

それはどこの地方に行っても同じだ。

「……無事でいてね……」

もう、離れるのはいやだから。