わけあり少女、ガラルへ【second】 (ページ14)

今日:5 hit、昨日:22 hit、合計:13,300 hit

#ねだるページ14

横を見れば赤い布がかかっているのがわかった。

そしてあたたかい。まだ誰かの体温を感じた。

「やあ。久しぶりだね……ダンデくん」

「……ええ。お久しぶりですね」

顔を上げると、逞しい背中が見えた。

「随分と妹が無茶をしたようで」

「へぇ……キミの妹だったのか、Aくんは」

「かなり捜しましたけどね」

『もう無茶をするのはやめてくれよ』

『まったく……どれだけ捜したと──』

頭の中で、目の前にいる人と同じ容姿の人が私をおんぶしながらそう言った。私はその人の背中が好きで、よくおんぶとねだっていた。

『ダンデにい!おんぶ!!』

頭の中に、大量の光景が流れ込んできた。

--------------------------------

『ダンデにい！おんぶ！！』

『よし、今日はどこに行きたいんだ？』

『ダンデにいといっしょならどこでも！』

『なら、ソニアのところに行こう！』

『ソニアー！』

--------------------------------

『A、これ』

『このひもなあに？』

『オレはこれから忙しくなるけど、Aが寂しくならないように、オレがおまじないをかけておいたぜ！』

『……ダンデにい、おうちにいないの……？』

『大丈夫だ！これがある限り、オレはAのそばにいる！』

『うん！おかあさんとあかちゃんは任せて！』

--------------------------------

『A、困ったことがあったらいつでもオレを呼んでくれよ！』

『わかった！ダンデにいー！！って呼ぶね！』

.

「………………っ、ダンデ、にい……っ」

「……大きくなったな、A」

口に出して呼んだら、目から涙がこぼれ落ちた。

少しだけ振り返ったダンデ兄は、懐かしそうに目を細めて私を見ていた。