むっつりーち【twst】 (ページ9)

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むっつりーち。そのきゅうページ9

｢あっははは！がんばれぇ、ジェイドくん！｣

｢やっぱそれアズールよりひでぇよ｣

運動場の隅、海を感じさせる青緑色の髪をした男が3人と真珠に似た輝きのある銀髪を持つ男がいた

周りより頭ひとつほど大きい彼は若干顔をしかめながら下を見下ろし、同じ色の髪を持つもう1人の男は腰を曲げ、赤子に話すかのような甘い口調で下にいる者に話しかけている

＜ジェイド＞と呼ばれた彼は箒に必死にしがみつき、長い足を器用に折りたたんで飛行していた

否、彼が足を伸ばせば地面につくだろう、ほんの数十センチしか浮いていないそれは、飛行と呼べるのだろうか

一方、銀髪の彼は、この飛行とも言えないそれと自身の飛行術を比べられたからか、ツンとした態度をとりそっぽを向いている

｢アズールよりはマシです！それとA、僕と目線を合わせるのをやめなさい、なんというか…あなたと目線の高さが同じなのは屈辱です｣

｢何を、飛行術くらいなんの造作もない。すぐにできるようになってみせますよ！｣

｢は？！なにそれ、俺はチビだって遠回しに言ってんの？すぐ伸びるし！！｣

｢20センチの差、埋めれるわけないじゃーん！俺らだって成長期だし！｣

｢………！うるせえ、その足よこせぇ！｣

｢やべ、Aが怒った～！｣

＜ジェイド＞の煽り言葉に見事にのったそれぞれ

＜アズール＞という銀髪の彼は＜ジェイド＞の横で飛行術の練習をし始め、どんぐりの背比べ状態

＜ジェイド＞によく似た彼は今日は機嫌がいいようだ

箒にのってうまく人を避け、心底楽しそうに逃げ回っていた

＜A＞という名の彼は声を荒らげながらオクタヴィネルの者にしては珍しく巧みな飛行術で彼、＜フロイド＞を追いかけた

少しの間、怒号と笑い声の喧騒が続いたがそれは突如終わる

ピタリと止まった＜フロイド＞を見て、＜A＞も止まりため息をついた

｢ふん、俺を馬鹿にしたことを後悔しなあ！フロイド！今晩は悪夢だよ｣

たかが身長で、なんて内心思う

＜A＞は箒を地面に置く。マジカルペンを取り出し、詠唱のためかにやりと歪めた口を開くがそれはくるりと振り返った＜フロイド＞によって止められた

｢飽きたぁ、今度はAが逃げる番ねぇ｣

｢……は？｣

形勢逆転、笑顔で締める～と言う＜フロイド＞に恐怖を感じた＜A＞は箒を忘れて駆け出した

品はないが、2年合同の飛行術は実に面白い

とあるポムフィオーレ寮生より