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いや、まさかな。でも、試す価値はある。メイソン氏が貨物運輸会社社長と言うところを考慮すると船の一隻や二隻持っていても不思議では無い。ましてや、この客船を融資し裏で操れるとしたら。可能性は高い。立食会はメイソン氏が顧客と接触する良い機会だった。だが、今ここにいると言うことは取引が失敗したのか、完了済みのどちらか二択。この船に人が出入りが激しい状態での取引の完了は考えづらい。
俺とAはパーティが始まってからずっとメイソン氏につき、動向を探っていた。その間に彼が不自然に動いた痕跡はない。取引は失敗したのか。ならば、持っているはずだ。言い逃れできない証拠を。どこだ、どこに隠した。先程着替えざるを得なかったシャツか。部屋の隅の大きなボストンバッグか。ベッドのサイドチェストの上にある本をくり抜いて隠したのか。だとしても、隠し場所を絞らなければならないな。昨日からずっと、そうだ。頭を使うとあいつが頭を過る。ロビンソン・クルーソー。無人島で生活をしながらもイギリス人としての誇りを捨てず良きキリスト教徒として長年を無人島で過ごした。
これは俺の勝手な解釈だがロビンソンは何者かになり、あるいは何者かとして存在したかった。無人島でただ生きるのではなく。良きキリスト教徒として野蛮人の青年をフライデーと名付けた男として自分の存在意義を見出したかった。いつだって人間は神に対して自分の存在を認めさせたがる。だが、だからこそ、逆に。こんな上部だけの奴らの特有の考えは読みやすい。偽るのは簡単だ。それは、何かを隠すことを目的とする場合のみ。最後の最期には人間の心を切り捨てたものが見破る。真の偽りに負ける。ビンゴ。メイソンとワインのテイスティング中にAには個別に指示を出しておいた。もちろん最後の晩餐にふさわしく沈黙の中で、だ。机を触る、もしくはタップするだけで沈黙での会話は可能だ。さて後は、こいつと楽しくお喋りするだけで今回の任務は完了だ。
「ところでミスターメイソン。パーティ会場にあった大きな聖母マリアと腕に抱かれたイエス・キリストの像とても見事でした。あの像はあなたがこの船に寄付したと聞きました」上機嫌でニコニコとしているメイソン氏に話しかける。「そうとも、あの像は良いものだ。キリストの清廉さを表す」ニヤリと笑ってみせた。「ええ、本当にそう思います」
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カナリアナ(プロフ) - エルモさん:仲間ですね！！自己満足になってしまうんですが、小説も頑張っていこうと思います。読んでくれてありがとうございます！！ (2019年12月9日 21時) (
レス) id: ddfa994d58 (このIDを非表示/違反報告)
エルモ - ジョカゲ好きです！！ (2019年12月9日 20時) (レス) id: 9cee2cc714 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カナリアナ | 作成日時：2018年12月12日 21時
