*•【場地圭介】 (ページ20)

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9月24日
そろそろ10月に入るのに真夏のような暑さだった。

家には朝早くから千冬が遊びにきていた。
ペヤングを食べようと思ったがたまには、とそうめんを食べることにした。

場「あっっつ」

千「実はまだ8月なんじゃないすか？」

場「かもしんねぇな」

不意に携帯に目をやるとメールの通知が届いていた。
開くとAからメールが入っていた。

［圭介君へ
最っ高の誕生日になった！ありがとう！！大好きだよ］

文だけなのに自然と口角が上がる
俺はそのくらいAのことが好きだと改めて実感する

場「やっぱネックレス買っておけばよかったな…」

千「ププププロポーズですか場地さん！？」

場「あ？プロポーズは指輪じゃね？」

千「確かに」

千冬はたまにおかしくなる。
放っておこうと思いテレビをつけた。
相変わらずテレビは面白くない。動物番組とかねぇのかよ

千「あ、Aさんからメール入ってた」

場「お〜、マカロンってやつか」

千「マカロンのことと場地さんとAさんのことよろしくねって内容でした」

場「千冬が俺の世話をするってことか？」

千「んーー…なんか違いますね」

多分。と笑う千冬の顔を見てると、あるニュースが流れてきた。

【速報です。○○市で昨夜親子2人が殺害される事件が起こりました】

場「○○市ってここじゃねぇか…」

千「通り魔による事件が多発してるってのは知っていたけどまだ捕まってなかったんすね…」

俺は急いでAに［最近通り魔がどうのこうの言ってるからあんま夜に1人で出歩くなよ］とメールを送信してすぐのことだった。

【遺体で発見されたのはこの家に住む中学生の野々 AさんとAさんの母親、野々香澄さんが＿＿】

場「…は？」

千「え、Aさん…？」

たまたま同姓同名のやつがいたと思いたかった。
でもテレビに映っていたあの家は確かにAの家だった

【犯人はAさんを刺したあと家に入り母親の香澄さんを刺し＿＿】

不思議と涙は出なかった。
隣でたくさん涙を流している千冬があるからか。
だがそのかわり胸にぽっかりと穴が空いたような、
手を動かそうにも上手くいかない。

あの時、Aがきちんと家に入るのを見届けてから帰っていればAは死なずに済んだんじゃないのか。
泣き続ける千冬の横で俺はただテレビの画面を見つめることしか出来なかった。