K 21 ページ21
「あら、撮影で来てくれてた…坊ちゃん!」
いや、俺、三十路ですけど。
「どうも、こんにちは!
この間はお世話になりました」
「こちらこそ、ありがとう。
まだテレビで流れないから、まだかまだかと待ってるのよ」
と、嬉しそうに笑うおばあちゃん。
「そうっすねー。
来月くらいだったかな?」
「楽しみだわ」
やっぱり、この団子屋だ。
おかしい。
なんで神社がないんだ?
「あの…隣りの神社って…」
神社なんてないから、隣りもなにもないんだけど、他に聞きようがない。
「神社?」
と、目を大きくしたおばあちゃんは、驚いていたようだけど、優しい顔で
「そうか、そうか。
彼女とうまくいったのね」
と微笑んでくれた。
「え?!
やっぱり神社…」
「時々ね、尋ねられるのよ。
隣りの神社は?って。
話を聞くと、皆、
うちの隣りにあった神社で願い事をしたら叶ったから、お礼に来たって。
でも、うちの隣りに神社なんてないからね。
だけど皆、嘘をいってるようではないから。
神様に選ばれた人だけ、叶えて貰えるんでしょうね。
坊ちゃん、よかったわね。
はい、団子しかないけど、お食べ?」
おばあちゃんから団子を受け取る。
「ありがとう…ございます」
「彼女と幸せにね」
…俺は神様からステキなステキな誕生日プレゼントを貰ったようだ。
現実には理解し難いプレゼントだけど…
パラレルワールドに迷い込んだようなプレゼントだけど、
それでも、いい。
神社があった方へと足を向け、頭を下げた。
ポケットで震える携帯。
取り出すと画面には愛しい藤ヶ谷の名前。
通話ボタンを押すと、甘い声。
『ヒロ、取材が急遽キャンセルになったんだ。
…デートしよ?』
夢にまで見た藤ヶ谷との時間が、
間違いなくココにある。
「了解。
デートしよう……太輔」
名前を呼ぶのも恥ずかしいけど、
藤ヶ谷との6年の記憶がないのも悲しいけど、
間違いなく、隣りにある幸せ。
――神様、最高の誕生日プレゼントをありがとう。
俺は最高に幸せです。
end
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作者名:咲良 | 作成日時:2017年9月17日 14時