K 14 ページ14
局の屋上。
今、空き部屋に入ったはずなのに。
「…北山?」
藤ヶ谷の声に振り返ると
今より若い藤ヶ谷が立っていた。
6年前の藤ヶ谷だ。
この服…
忘れもしない。
あの時に着てた服だ。
「今日はもう、あがりかよ?」
あ…俺の口、何言ってんの?
「いや、もうすぐドラマの撮影に戻る」
「そっか」
6年前と同じ会話。
…後悔した時ばかり、夢で見るだなんて。
これですっぱり諦めろってことなのか?
「北山…俺さ」
「ん?」
来た…
あの、嬉しかった瞬間。
幸せだった瞬間。
「…北山が、好き」
風に飛ばされそうなくらい小さく呟いた言葉は
6年経った俺の胸にも、しっかりと刺さった。
「……ふ…藤ヶ…谷…」
嬉しい。
夢でも、またこの時を感じられるなんて。
藤ヶ谷の気持ちが俺に向いてる。
幸せだ。
「…なんかさ、ずっと北山と居たのに
こんなに北山と一緒に居られないなんて…
考えてもなかった。
デビューしても2人で今まで通りだって…
隣りには北山がって…」
藤ヶ谷…
おまえ、どんだけ勇気を出して
俺に伝えてくれたんだよ。
「俺…も…」
幸せ…だ。
「え?!」
藤ヶ谷の表情。
この表情を見て…想いを伝えるのをやめたんだ。
俺らは、このままでいなきゃいけない。
そんなこと、誰が決めた?
同じ間違いは、もう、しない。
勝手に動いてる口。
力を入れて、口を閉じる。
嫌だ。
藤ヶ谷を離したくない!
口に力を入れ、開けた。
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作者名:咲良 | 作成日時:2017年9月17日 14時