K 3 ページ3
「あ…
ん、行くわ」
藤ヶ谷…
…好きなんだ、俺。
終わりにしたくない。
着替えてる藤ヶ谷をじっと見てしまっていたようで
「…どうかした？」
と、聞かれた。
「あ、いや…
じゃ、行くわ」
さっきから、行くばっかり言ってるな、俺。
インタビューを受ける間もピアスが気になり、
あと捜してないとこはどこだろう？なんて考えてた。
インタビューを終え、戻ると楽屋には誰もいない。
あるのは俺の荷物と藤ヶ谷の荷物。
そういや、藤ヶ谷は別の取材がまだ入ってるって言ってたな。
私服に着替えて捜索を開始した。
どれくらい捜しただろう。
「…無い」
ねぇよ、もう。
これだけ捜したんだ。
うん、別にピアスがなくなったからって藤ヶ谷への想いを捨てる必要なんてない。
そうだよ、勝手に俺が願掛けなんてしただけで。
この想いには関係ない。
「あれ？
北山、まだ居たんだ？」
楽屋に藤ヶ谷が戻ってきた。
…もう、ピアスにこだわるのはヤメよう。
「お疲れ。
もう、帰るとこだった。
じゃあな」
ピアスは諦めよう。
「…一緒にピアス、捜そうか？」
「いや、いいよ」
「大事なピアスなんでしょ？」
「ん…そうでもないからいいって！
じゃあな！お疲れっ」
そうだよ、俺にとっては大事なピアスだったんだ。
でも、こんだけ捜したんだ。
いいんだ、これで。
何か言いたそうな藤ヶ谷の横を通り過ぎ、楽屋をあとにした。
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作者名：咲良
| 作成日時：2017年8月11日 1時
