K 2 ページ2
楽屋に一旦戻ると、既にインタビューの終わったメンバーが帰るとこだった。
「宏光、お疲れ！
ピアス、あった？」
「……ない」
「そっか。
いいじゃん、ピアスだからもう片方あるでしょ？」
にっこり笑う千賀に
「あれは1個だけなんだよ」
うっかり喋ってしまった。
あ…ヤバ…。
「え？そうなの？」
千賀だけじゃなく、インタビュー中で楽屋に居ない横尾さん以外の視線が集まる。
藤ヶ谷まで、こっちを見てる。
普段、俺のことなんて気にもしないのに。
「あれは、なんつーか…
作ったから、ひとつだけ」
願いを込めて。
願掛けで作ったひとつだけのピアス。
「そうだったんだ、知らなかった」
「まぁ…いいよ、もう」
嘘。
本当はよくないけど
今は話をするよりも捜す時間が欲しい。
「お疲れさま〜」
と皆が帰る。
楽屋に残ったのは藤ヶ谷と俺だけだった。
藤ヶ谷はこっちを見ていない。
……捜そう。
思い当たるとこを捜すけど
ピアスどころか、キャッチも出てきやしない。
あのピアスは…
俺の片想いが叶うようにと、
刻印を入れてもらったピアスだ。
前から見てもわからないが
後ろ側の下に小さく文字が刻印されている。
H/T
ひろみつ / たいすけ
この、略。
俺の片想いの相手は、藤ヶ谷だ。
叶うはずのない片想いだけど
諦めることなんて出来なくて、
叶えばいいな、なんて想いを込めて
刻印してみた。
メンバーとの仕事の時は
このピアスを付けるようにして
少しでも願いが叶ったら…って
ガキみたいな片想い。
そのピアスが無くなるなんて。
やっぱり、藤ヶ谷のことは諦めろってことなんだろうな。
「太輔〜、次だよ」
横尾さんが楽屋に入ってきた。
本を読んでいた藤ヶ谷が
「わかった。
ありがと、渉」
と、出て行った。
帰る準備を終えた横尾さんは
「お先〜、お疲れさま〜」
と、清々しく帰って行った。
ひとりになった楽屋で、とにかく捜す。
スタジオをあれだけ捜してもなかったんだ。
着替えたり、騒いだり…
きっと、楽屋が1番怪しい。
このままピアスが見つからなかったら
この恋は終わりだって言われてるみたいで
そんなの嫌で…
夢中でピアスを捜した。
でも見つからなくて
「北山、次だよ」
藤ヶ谷が楽屋に戻っていることさえ気付かず、捜していた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 596人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：咲良
| 作成日時：2017年8月11日 1時
