触れていいのは俺だけ

F 9 ページ9

「いいなぁ、青春」


「よくないですって！」


「おっ！北山、もうすぐ着くって」


翔くんの携帯が震え、北山からのメッセージを受信したらしい。


いいな、メール…


「藤ヶ谷、顔っ」

と笑われてるのは何故だろう？


「藤ヶ谷さ、わかりやすすぎるわ。

ちょっとマジで頑張れよ？

まずはメル友になれ、メル友っ」


「いや、いつの時代ですか、メル友って」

なんて話してたら、襖向こうから


「北山です。失礼します」

と、丁寧な声が聞こえた。


ドクンと胸打つ音。


「どうぞ」

と翔くんは言いながら、俺にエールの鋭い眼差しを向けた。


襖が開いて私服の北山が入ってきた。


「遅くなってすみませ……って、え？！」

俺を発見して驚いてる。


そうだよな、翔くんとふたりだと思って来てるんだもんな。


「お疲れ」


「…お疲れ」

北山から声をかけてくれても、無愛想な返ししか出来ない。


「局のエレベーターで会ってさ、俺が誘ったんだ。

藤ヶ谷とも飲みたかったし」


「そうだったんですね」


「北山、そこな」

と、俺の横を勧める翔くん。


勿論北山が断れるはずはなく、俺の横に座る。


「じゃ、飯出してもらおうか。

北山、ビール？」


「はい、いただきます」

と、また翔くんのペースで食事は続き…


お酒が入った2人は和んでて楽しそう。


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