好きだと伝える魔法があれば 《前編》

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ロビーも豪華で綺麗な造り。

部屋へと案内され、部屋の豪華さにも興奮して見回してしまう。


北山が旅館の方と話してたのが終わり、2人だけになると


「凄くね？」

と笑う。


『いや、凄すぎっ

ひとりでこんな広かったら、ふたり部屋だとどうなんだろ…』


和室に、繋がった和洋室には低めのベッドがふたつ。

窓は全面オープンになってて、

小さな庭の造りに、内風呂。


見て回ってしまう。


…ん？

ベッドふたつ？


クローゼットを覗くと、ふたり分の浴衣類。


この部屋…


『…ここ、ツイン？』


「そだな」

普通のことのように、さらっと答えた。


『え？！シングル予約したんでしょ？』


「マネージャーに予約してもらって、
納得してもらった後で
俺がツインに変更したんだよ」


『なんで？！ひとり分で済むのにっ』


「ひとりじゃねぇよ。

おまえとふたりじゃん？

ふたりで来るのに、シングルっておかしくね？

ふたりで楽しむんだからさ、当たり前だろ。

まぁ、飯は1人分頼んだけど。

旅館側も俺がひとりだけど2人分払うって言ったら
ツインでいいって、了承してくれた」


何それ…

俺がちゃんと居るって

此処に居るって、

皆に見えないのに

ひとりの存在として扱ってくれてる。


男前過ぎるだろ…


益々好きが膨らんでいく。


『…ありがと』


どれだけ北山から幸せを貰うのだろう。


和室に座り、寛ぐ俺たち。


「さてと。

行くか！」


『もう休まなくていいの？』


「もう充分。

それより、散策したいんだろ？」


『あ、うん』



2人で調べていた通りへと向かうことにした。



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