好きだと伝える魔法があれば 《前編》

F 23 ページ23

起きない北山を置いて、
マネージャーに近付くも俺の事は見えないわけで…


『あっち！

あそこで寝てるっ』


なんて言っても反応すらしてくれない。

どうしよう……


そう思った時



「藤ヶ谷？！

藤ヶ谷？！どこ行った？！」


北山の慌てた大声。


マネージャーはそれに反応し

「北山さん？！」


と、北山へと駆け寄って行った。


俺も後を追う。


立ち上がって周りを見渡している険しい顔の北山。


「藤ヶ谷っっ」


空に向かって叫ぶ。


俺を探してくれてるんだ。


「北山さんっっ」

マネージャーの声にハッとし、こちらを見て俺と目があった。


「…心配させんな」


と、その場にしゃがみ込む。


『ごめん…』


俺が居るなんて思わないマネージャーは、とても苦しそうな顔をしている。


きっと、北山がおかしくなったと思ってる。

それも、まさかの俺のせいで。


一緒にいることすらなかった俺たちだから…

今、北山から出てた名前に驚いただろう。


「北山さん…


……戻りましょう。


スケジュールが変更になって、休憩が短くなったんです。

探しましたよ。

もう、ひとりにさせませんから」


と、北山を強く抱きしめるマネージャー。


北山が俺のことで思い詰めてると思ってる。


北山も気付いたみたいで


「ちょっ…

大丈夫っ！

大丈夫だって！」


と慌ててる。


「今日、帰りに病院に寄りましょう。

藤ヶ谷さんも喜ぶと思いますよ」


「いや、わかってるって！

今のは寝ぼけてただけだって！

心配すんなっ」


「いいえ！寄りましょうっ」


「本当、違うんだって！」


と言い合う2人が微笑ましくて、
ニコニコしながら見てると

北山から、おまえのせいだ！って目で訴えかけられた。


北山には悪いけど、俺のこと心配してくれて、凄く嬉しい。


ありがとね、北山。





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