好きだと伝える魔法があれば 《前編》

F 29 ページ29

部屋に帰ると、有言実行。


疲れているだろうに

「よし！やるかっ」

と、元気よく北山は料理してくれた。


一緒にワイワイしながら作って…


旅行の話をしながら食べて…


北山が食器の片付けをする間に、

俺のために広げてくれた旅行本の地図を眺めてる。


こんな恋人みたいな毎日、


幸せな時間を過ごしてて、本当に嬉しすぎる。


「風呂入ってくるわ」


『いってらっしゃい』


洗い物を終えた北山がバスルームへと消えた。


心残りのリストを北山と作った。


そのリストをひとつずつ実行してくれる北山。


嬉しいけど…


このリストが空になる時…


それが怖い。


もう、この世との別れなのかもしれない…


北山の傍に居られないのかもしれない。



『北山…』


ずっと…


ずっと、このまま…。


さっきの料理中だって、


あんな優しい顔で俺に話しかけて…

あんな美味しそうに食べながら話して…


どんどん新しい北山を知っていく。

好きが止まらない。




考えまくってた俺は、時間経過に気付かなくて…


「何、難しい顔してんだよ」


と、ビール片手にソファー前に座る北山に言われた。


風呂上がりで、色気が凄い…


これは毎回慣れない。


本当、かっこよすぎるだろ…



『コース、考えてたんだよ』


「いいコース、決まった？」


なんて笑って聞いてくれる。


その笑顔が幸せだと再度確認させてくれる。




.

F 30→←K 28

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す