好きだと伝える魔法があれば 《前編》

K 3 ページ3

病院に着いて、マネージャーより先に飛び出した。


聞いていた場所へと走る。


夜中の病院は、
夜なのに気持ち悪いほど蛍光灯の灯りが強くて

その灯りが、冷えているように感じた。


寒気がする。




嘘だっ

嘘だっっ

ありえないっ


絶対、信じないっっ



思い切り走って着いた先には、

赤いランプが点灯した扉の前に

宮田が座っていた。



「キタやんっ」

涙で赤くなった目と合う。



俺を見て立ち上がる。


宮田の前で止まった俺に


「ごめんっ

俺っっ

…どうしようっ」


力が抜けたように、床に座り込んだ。



「宮田？！

大丈夫だ。

大丈夫だから、落ち着け」


しゃがんで宮田を抱きしめる。



「俺っ…


俺っ」


今まで我慢してたのか、赤かった目からは止めどなく涙が流れ出した。



「大丈夫、助かるから」



背中を摩り、落ち着かせようと試みる。



その俺の手も震えてて…


宮田を落ち着かせることなんて、
出来ないのかもしれない。


「大丈夫。大丈夫だから」


自分に言い聞かせるように、大丈夫だと唱え続けた。









マネージャーへの電話は、チーフマネージャーからだった。


藤ヶ谷がロケ中、怪我をして救急車で運ばれた。

出血も酷くて、意識はなかった。

マネージャーだけでも病院へくるようにとの指示だった。



事態が飲み込めなくて…

飲み込みたくなくて…



しっかり働かない俺の頭をフル稼働させて
マネージャーを落ち着かせ、病院へと車を向かわせた。

その間にチーフマネージャーへ電話し、状況を聞いた。


ロケ中、人だかりが出来て、スタッフだけでは抑え切れず…
人の波が押し寄せる中で機材も倒れ、
機材と一緒に倒れた藤ヶ谷の打ち所が悪かったらしい。

一緒にロケへと出ていた宮田は無事だった。

すぐに手術へと入った…

手術室の場所は…。


…そこまで聞いた。



そして、今に至る。




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