それが嘘だと気付いたら ３

K 66 ページ15

藤ヶ谷に聞かれてた。


一瞬、気持ちがバレてしまったことに焦ったけど…


事態はそれより悪かった。


藤ヶ谷の眼……


俺を拒絶してる。



俺の好きな人は、他にいると思ってる。


藤ヶ谷だとわからなかったんだ。


だから……


遊ばれてたとプライドが傷ついた？



…おまえだよ。


おまえのことが好きなのに…



きっと、勘違いしてる。


早く誤解を解かなきゃならない。


きっと、このままだと藤ヶ谷は…





…俺から離れていく。



寒気に襲われる。


なぁ…


俺、おまえに好きだって伝えてたじゃん。


伝わってなかったの？



前を歩く藤ヶ谷を呼ぶ。


「藤ヶ谷」



……全く反応しない。




「藤ヶ谷」


もう一度。




それでも振り向かない。



マネージャーがオロオロしてる。



「あのっ…藤ヶ谷さん。

北山さんが…」



その声で藤ヶ谷が足を止め、振り向いた。


冷たい眼…。


「何？」


熱のない言葉。


数時間前に熱く口付けてた藤ヶ谷とはまるで違う。



…嘘だろ？



「後で話がある」



「…わかった」


すぐに正面を向いて歩き出す。



今すぐ引き留めて伝えたい。


勘違いすんな、俺が好きなのはおまえだよって。




急激に藤ヶ谷から作られた距離。


なぁ、嘘だろ？


おまえだって…少しは俺に惹かれてくれてるよな？



藤ヶ谷と話したい。


誤解だって、伝えたい。



なぁ、藤ヶ谷。



俺…おまえから離れたくないよ。





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