時空を越えた奇跡3 (ページ8)

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勝敗ページ8

大きな歓声がフィールドを包み込んだ。

会場内のスクリーンにはシンジの写真が映し出される。

ﾀｲ「Aさん、負けちゃった……」

タ「惜しい所まではいったんだけどな……」

ヒ「……相性の悪い相手にここまで追い込めたんだもの。Aもシャワーズも頑張ったわよ！」

ﾀｲ「そうですよね！……これで決勝戦で当たる2人が決まりましたね」

Aはシャワーズに駆け寄り、両膝をついて優しく抱き上げた。

シャワーズは薄く目を開け、消えかかりそうな声を出す。

『お疲れ様、ありがとうシャワーズ。ゆっくり休んでね』

シャワーズの頭を撫で、ボールに戻す。

そのまましばらく俯いていると、突然目の前が暗くなる。

反射的に上を向くと、シンジがAの前に立っていた。

『シンジも……ありがとう。凄く楽しかったよ！』

悔しい、勝ちたかった。

そんな気持ちももちろんあるが、それ以上に興奮した、楽しかったという気持ちの方が大きい。

Aは笑顔で本心を告げる。

いつの間にか、無意識のうちに敬語は使わなくなっていた。

シンジは小さく微笑むと、Aに向けて片手を伸ばす。

Aはその手を取り、腕を引かれて立ち上がる。

シ「……いいバトルだった。よく鍛えているな」

『シンジのエレキブルだって！2人の絆が、凄く伝わってきたよ。
……決勝戦、私とシャワーズの分も頑張ってね！』

当然だ、まるでそう言うようにシンジは鼻で笑うと、此方に背を向けてフィールドから去っていく。

Aは1度だけ振り返り、スクリーンを見つめる。

……決勝戦、あたるのはこの2人なんだ。

どんなバトルを繰り広げてくれるんだろう……？

私達のこれからの課題も、見つけることができるといいな。

Aは帽子の鍔を下に下げ、シンジの後を追った。

キ「……フッ」

観客席の一番後ろで立って見ていた男性が、まるで透き通るかのように消えていったこと。

それに気づいた観客は誰1人いなかった。