時空を越えた奇跡3 (ページ26)

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真実ページ26

『私もそう思ってた。……でも、本当は違ったの。私はずっと騙されていただけ。だって二人とも、すっごく演技が上手かったんだもん。私もジュンサーさんに教えてもらって、初めてわかったんだ。

……私はお父さんとお母さんに、優しい嘘で守られていたんだって』

ヒ「どういうこと……？」

Aはコリンクを撫でていない方の拳を、強く握り締める。

『……あの時。私は、ある殺人鬼に命を狙われていたの』

ヒ「殺人鬼……っ！？」

未だに自分でも信じられない。

あの悲劇は、私の小さな行動1つで始まったなんて。

あんな小さなキーホルダーを拾ったことで始まったなんて……。

『あのキーホルダーはね、USBメモリだったの。ボタンだと思っていた小さな出っ張りのところを横にスライドさせると、パソコンに差し込むための黒い部分が出てくる仕組みの。

……あれは、その頃かなり騒ぎになっていた殺人鬼の落とし物で、私は偶然それを拾ってしまった。詳しくは知らないけど、中には依頼者の名前とか死体の処理、今までの経歴なんかのデータがたくさんあって……。
殺人鬼はそのデータを見られたと思ったんだろうね。あの時は知らなかったんだけど、キーホルダーを拾ったその日から、私達一家は殺人鬼に目をつけられていたみたい』

ヒカリはブルッと身震いをさせる。

ずっと殺人鬼に命を狙われていたと知ったら、誰でもこんな反応を見せるだろう。

ヒ「じゃあもしかして、両親がAを捨てたのって……」

『……うん。私を、守るため』

一家全員が生き残るのは難しい。

だったら、私だけでも生き延びるようにという二人の考え。

『森でね、夫婦の死体が見つかったんだって。刃物でズタズタにされた、見るも無惨な姿で。二人の嘘の真実がわかったのは、それからしばらくたってからだった。

私ね、泣けなかったんだ。この真実をジューサーさんから聞いたとき。捨てられたときに泣きすぎたのか、それとももう二人と私は関係ないって思ってたのか、涙は一粒も出なかった』

それが、私の罪。