時空を越えた奇跡3 (ページ22)

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距離ページ22

『うん！これだよ、綺麗でしょ？』

私がキーホルダーをポケットから取り出すと、お父さんは勢いよくそれを奪い取る。

『っ！？』

父「しばらく借りるぞ」

『う、うん……？』

母「じゃあ、行きましょう」

今思えば、この時から妙な違和感は感じていた気がする。

車から降りてさっさと森の中へ入ってしまう二人を、私は必死に追いかけた。

『ちょ、お母さん……！少し早いよ…待って！』

母「………」

『お父さん！もう少しゆっくり……』

父「………」

『お母さん……？お父さん……？』

いつもなら立ち止まって、振り返ってくれた。

ごめんなと笑いながら、歩くスピードを落としてくれた。

それなのに……

『待って！待ってってば！！お母さん！！お父さん！！』

今日は違った。

止まりもせず、振り返りもせず、歩くスピードを落とすこともない。

私の声は暗い森の中へと、静かに消えていくようだった。

『っ！おいてかないで！！』

必死に走る私。

二人を見失わないように。

二人においつくように。

けれど、差がありすぎる歩幅が邪魔をして、二人との距離は全く縮まらない。

『なんで？どうしておいてくの？
……やだ、一人にしないでよ！お母さん！！お父さん！！』

父「……静かにしろッッ！！」

突然足を止めたお父さんが出したのは、今まで聞いたことがないような低い怒鳴り声。

私はビクリと肩を震わせ、前に出そうとしていた足が止まった。

母「貴方……」

父「……ここまでだな」

小さい声で、ブツブツと話し出す二人。

私は先程の怒鳴り声に怯え、その間に二人との距離を縮めようとは思えなかった。

『お父、…さん……？お母、…さん……？』

震える唇で、やっとのことで声を出す。

母「……A、よく聞くのよ？

今この限りで、あなたと私達との関係はなくなったの。だからもう、私達についてくるのはやめてちょうだい」

『え……？』