時空を越えた奇跡3 (ページ16)

今日:11 hit、昨日:0 hit、合計:42,488 hit

写真ページ16

ヒ「ちょうど2部屋空いていてよかったわね！」

『うん！』

タイチと別れた後、A達はポケモンセンターを訪れた。

残っていたのは2部屋だけで、ちょうど部屋をとることが出来たのだ。

『疲れた……』

Aはそう呟くと鞄を机の上に置き、ベッドに倒れる。

その姿を見て、Aのベッドにコリンクも飛び乗った。

優しく頭を撫でると、コリンクは嬉しそうに鳴き声をあげる。

ヒ「なんか喉乾いちゃった！ジュース買ってくるけど、Aもいる？」

『ううん、平気。私、ここで待ってるね』

ヒ「わかった！」

ヒカリはポッチャマを連れて部屋を出ていく。

パタンと扉がしまると、部屋は静まり返る。

『……』

Aは無言で服のポケットに手を伸ばす。

中から出てきたポケギアを手に取り、電源をいれる。

まさか……こっちの世界で今日を迎えることになるなんてね。

ポケギアに保存されているアルバム。

その中で、1枚だけ消去せずに残していた写真。

そこには……

カメラをもった笑顔の男性、

その横で上品に微笑む女性、

ミニリュウを抱き締めて笑う幼い少女が写っていた。

『………道理で今日は、こんなに情緒不安定だったわけか』

今日が何の日か、すっかり忘れていたくせに。

心のどこかでは覚えていたらしい。

……忘れてもいい、忘れたい記憶のことも。

ポケギアを覗き込むコリンク。

Aはコリンクをソッと抱き締め、ポケギアを放し寝返りをうった。

まるで、写真に写っている少女のように。

心のモヤモヤを落ち着かせるため、そのままゆっくりと目を閉じる。

ヒ「A！サトシの優勝と、Aとジュンの3位をお祝いして、今日はどこかで美味しいものでもを食べようってことになったんだけど……

……って、あれ？寝てるの？」

ベッドに横になるAに歩み寄るヒカリ。

ヒ「……泣いてたの？」

スヤスヤと規則正しい寝息が聞こえる。

ヒカリはAのほんのり赤くなった目元を指先で拭った。

ヒ「ポケギア…だっけ？電源入れっぱなし……。

……写真？」