【短編集】今始まる物語。【募集企画】 (ページ6)

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「紫苑、頼むよ…お前には生きてて欲しいんだ…！俺に出来ることなら頑張るから、チャンスを…時間をくれ…！」

「分かった…俺行くよ」

ｶﾞﾀｯ！

先程までの空気からは予想できないような笑顔で勢いよく悠真が立ち上がる

「よし！よく言った紫苑！」

そう言って悠真が取り出したのは一つの大きめなキャリーケース

ガラガラと引っ張ってこっちにもってくると、持ち手を俺に握らせた

そして悠真の手には車の鍵が握られている

「え？」

「ほぉ～ら車に乗れ！」

俺は状況に追い付けないまま車に乗せられた

「え？」

「大丈夫大丈夫、他の荷物は大体全部車積んどいたから」

「え？」

「親父が帰って来る前にとっとといくぞー！」

「え？…え！？」

「悠真…！待って！」

「問答無用！出発進行！」

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

そうしてしばらく車に乗っていたがどうやら目的地についたようだ、車が動きを止めた

「いやー最近の若者はこんなとこで高校生すんのかよ、やべ～」

「なに年寄り臭いこと言ってんだよw」

でも正直俺も同じ感想である、とにかく”広かった“

「あ、ほら紫苑！この荷物ここ降ろしとくからな」

「うん、ありがとう兄さん」

「おうよ……え！お前今“兄さん”って言った！？」

ミスった

「言ってない！」

「言った！絶対言った！うわ～！何年ぶりだろ！お兄ちゃん感動！」

「悠真、キモい」

「辛辣～」

ふわりと風が吹いて俺の髪が揺れた

「ほら紫苑、あっちなんか人いっぱいいるぞ」

「ほんとだ」

「大事な話でもあるんじゃねぇか？」

「うん」

「行ってこいよ？」

「うん、」

「……もしかして寂しいのか？大丈夫！また会えるよ！」

「は！？ちげーし！！もういい、行ってきます！」

「こっちのことは気にすんな！楽しんでこいよ！いってらっしゃい！！」

こうして、柊紫苑の新たな学園生活が(若干強制的に)幕を開け(られ)たのである。