【ツイステ】【リレー小説】足りない高校生達の異世界旅行 【本編】

人形の一人芝居《雲摺理人》 ページ33

【side:Richt Uzuri】
その場にそぐわない程に明るい馬鹿みたいな演技をしたからかその場の空気が変わったこの空間はやっと回りだす。

それと同時にイロハが倒れた。

「イロハ!!」
「リヒトには…幸せになってほしいな…」

そう呟かれたときに自分の目が見開かれるのが分かった。その焦りを隠すかのように持っていた薬を慌てて取り出すが水筒を持っていないことに気がつく。

あたりを見回すとバックを持っている人で最も近いのは零だった。

「レイ、水筒持ってない??」
「あぁ、持ってます!!はい、どーぞ。」
「ありがと。」

女の子同士なら、と思って水筒を求めてみる。彼女は案外賢いので話が早く済んで助かった。

イロハを看病する間も次々と皆が自己紹介していく。俺のことなんてどうせ知ってる奴のほうが多いんだ、どうせ名乗る必要もない。

「そんじゃあ次俺ね!!俺は雲摺理人、バスケやってたよ。これでもシューティングガードだったんだ。よろしく!!」

そう『リーダーシップを取れる』『しっかりした』『クラスの人気者』として笑いながら話す。感情が薄いことを隠すかのように笑うその姿はきっとどこぞのピエロなのだろう。

「あ、あと元々の世界では俳優やってたから知ってる人いたら教えてね!!」

広告も忘れない。それが俳優だ。

そう父に言われた記憶が蘇った。いずれ元の世界に戻るのなら、この広告は無駄じゃない。

…どうせ、俺はただの人形(マリオネット)、倫理なんてあるわけない。


自己暗示をかけながら、薬を飲み終えたイロハが目を開けるのをみて『笑った』。


演技か、本心かは、俺には分からなかったけど。

いなくてもいい命【雨慧紅葉】→←隣で笑える人《光星 花音》

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