【ツイステ】【リレー小説】足りない高校生達の異世界旅行 【本編】

＊《雲摺 理人》 ページ17

【side:Richt Uzuri】

夢、とはこんなものだっただろうか。感情が薄くなって以来見なくなってしまったそれは、もうそれが夢であることすらも忘れてしまうほど存在感を薄くしていた。

「理人、貴方は貴方らしくいれば良い。」
「お前にはお前の生き方がある。好きに生きろ。」

きっと両親はそんなことを言わないだろうけれど、夢ならば見てもいい気がした。にこやかに笑う二人に手を伸ばしてみようと珍しく意欲が湧いたのだが、それが実現する頃にはその幻想は消えてしまった。

その代わりに、かは分からないがライオンの耳が生えた男の人の腕の中にいる俺を見つける。心底嬉しそうに笑っていて、演技じゃなかったら良いのに…なんて他人事かのように考えているとふっと目が開いた。

「ここは…??」
「誰ッ！」

目が開いたその瞬間に女の子にすごい殺気を向けられた。こんなことは一度もなかったが、特に驚く、ということでもなくそのまま通り過ぎる。「ちょっと…!!」と声をかけられはしたが、興味は全くないのだから。

「イロハが、いない。」

同じ茨に包まれたはずなのにいないイロハ。そのほうが気にかかる。バックは手に持っているし…と頭を働かせている間に人が集まってきていた。その中から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「リヒト!!」
「あぁ、良かった…発作は起きてない??」
「うん、大丈夫。」

簡単に安否確認を済ませるとここに俺達を集めた人間らしきものが話しだした。

「まぁまぁ！話ちゃんと聞いてよ！
私は天照桜。日本を見守る神様だよ！



君たちには〜＿＿

＿＿異世界に行って貰いま〜す！」


…あまりの突然さに思わず「…え…??」と言葉が滑り出してしまった。

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