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四歩 ページ4

でもな、そういう日常を全部粉々に打ち砕くような、悲しいことがあった。



 織田の死と、坂口の裏切り。



 そして極めつけは、太宰の組織からの離脱。



 太宰とその二人は心の通ったいい友人だった。だからこそ、太宰にあんな大きな変化をもたらした。



 私だって織田と坂口のことは悲しかったし辛かったし苦しかったさ。でも、それで太宰が組織から抜けるなんて考えもしなかった。



 『私は明日ここを出る。一緒に行くかい?』



 そう言いにきたのは組織を抜ける前夜でね。直前まで私には秘密にしておこうと思ったらしい。



 私は太宰が好きだったから、本当はどこまでも着いていきたかった。



 でも、出来なかった。私には組織に対する恩があった。親に売られ、暗い暗い世界で惨憺な人生を送るだけだった私が、生きる意味というものを与えられた。



 それを与えてくれた首領に後ろ足で砂をかけるようなこと、死んでも出来なかった。



 太宰もそれは薄々分かってたはずなんだ。なのに敢えて尋ねたんだよ。意地の悪い奴だろう?だから太宰を突き飛ばして冷たく言ってやった。



 『さっさと行け』、ってね。



 太宰はそのままきっかり四歩分後ずさった。



 それで私は後ろを向いて。いつも私は太宰におちょくられるばかりだったから、最後に一矢報いようと思ったんだ。



 『私が泣き出さない内にさっさと行け』って言ってやったのさ。



 そしたら、太宰の奴、勢いよく私に抱き付いてね。



 耳元で一言だけ。




 ____愛してる。




 そのまま太宰は行ってしまったよ。



 太宰からの初めての愛の表明。そしてそれが、私達の最初で最後の触れ合いだった。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 太宰治   
作品ジャンル:恋愛
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みみくも@文スト沼(プロフ) - 八紡陽人@双黒尊いさん» 図々しいなんてそんなことないですよ!!新作楽しみに待っております(^^) (2017年8月7日 12時) (レス) id: 413539ed0e (このIDを非表示/違反報告)
八紡陽人@双黒尊い(プロフ) - みみくも@文スト沼さん» お読み頂きありがとうございます!褒めてくださって嬉しいです!掛け持ちが多すぎて中々内容修正が進みません(;´ω`;)図々しいですが、もっと精進致しますので、もし新作出すようなことがあったらまたお願いしますm(_ _)m (2017年8月6日 22時) (レス) id: 9661550765 (このIDを非表示/違反報告)
みみくも@文スト沼(プロフ) - すごく面白かったです!!もっとたくさんの人に見られる事を祈ってます!! (2017年8月6日 20時) (レス) id: 413539ed0e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:八紡陽人 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2017年4月29日 1時

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