生まれ変われるなら。２【Kn】

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『きんとき様………』




私はベッドで眠る彼の名前を呟く。

＿＿＿あの後、
きりやん様とぶるーくがきんとき様を部屋へ運び、
私はきんとき様のお側についた


きりやん様によると、毒は完全に抜かれており
命に別状はないらしい。
何事も無くて、本当に良かった…。




『すみません…きんとき様、』




私がしっかりしていれば、
きんとき様が傷付くことは無かったのに。

そんな罪悪感が私を蝕んだ。




「A」


『…？きりやん様？』


「アイツら(シャークん、なかむ、スマイル)に聞いたよ。蹴られたんでしょ？」


『あぁいえ、大したことありません』


「見せて。』


『いやあの、……ッ、』


「やっぱ痛むんじゃん。
……本当にさぁ、馬鹿なの？Aは。」


『しかし、きんとき様に比べたらこんなもの、』


「良いから黙って俺に治されてて」


『………、はい、』




きりやん様はそう言うと治療をしてくれた。
腹部を蹴られていたので服を捲ってじっとしていなきゃいけなかったのに少し抵抗があったが
実際痛みでそれどころではなかった。




「ん、終わった」


『すみません、ありがとうございます』


「女の子なんだからさ、気を付けてよこういうの」


『はぁ、』


「痣になるし場合によっては残っちゃうからね」


『別に私は気にしませんが、』


「だーかーら、それを気にしてって言ってんの」


『………はい、すみません、』




全く、と言いながらきりやん様は立ち上がる。
ひらりと揺れた黒衣が身体に触れてくすぐったかった。


多分もうすぐ起きると思うよ、と言葉を言い残し
きりやん様は部屋を出る。

早く起きて欲しい。
そうは思うものの、なんだかやけにソワソワした。

好きな人を待つのってこんな感じなのか。

これも、私にとってはじめての感覚。



そして少ししたあと、
んん…ときんとき様が喉を鳴らす。
次第に目は開かれ、その視線が私のと絡み合った。




『きんとき様っ、』




私は思わずきんとき様に飛びついた。
大胆な行動だとかそんなことはどうでもよくて
ただ、彼が生きているという実感をちゃんと感じたかった。




「ぉわっ⁉︎………A？」




ああ。生きてる。
ちゃんと鼓動を感じる。きんとき様の鼓動が。




「A……」




私の様子を悟ったのか
きんとき様は静かに腕を回した。

そのあたたかい手の温もりは、私の大好きな彼の温もりで。

しばらくこのままでいることにした。




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