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『すみません、』
「いいよ。このままで。」
少しずつ冷静さを取り戻した私はきんとき様の腕から離れようとしたけれど
彼によってそれは阻止されてしまう。
今はもう自分の鼓動の方が気になって仕方が無かった。
それから私は、
きんとき様が眠ってしまったあとどうなったのかを説明した。
ボスに私がトドメを刺したこと。
ボスに対する私の気持ちも、全部。
きんとき様は優しく相槌を打ちながら静かに聞いてくれた。
「ねえ、A」
『はい、何でしょうか』
「ありがとう。一緒に生きる道を選んでくれて」
きんとき様の声色、表情、その全てが優しさに包まれていた。
彼からの言葉は
どうやら何よりも私の心に響くらしい。
ドキドキとはまた違う締め付けが胸を襲う。
部屋の窓からは奇麗な夕陽が差し込まれていて
そのオレンジのグラデーションがきんとき様の瞳に映る。
美しい。
そう思った。
やがてきんとき様が体を起こすと
私たちは向かい合わせになるように位置付く。
まるで時間が止まったようなこの空間。
きんとき様が私の手をそっと包み込むと
熱の籠った眼差しが向けられる。
ごくりと息を飲み込むのも忘れてしまいそうなくらい
彼の瞳に魅入られた。
これから起きることなんて、想像するのは容易いこと。
だけど、私の心臓は心構えというものを知らないみたいに煩くなっていく。
「A」
『……はい。』
「Aのことが好きです。
俺と、結婚を前提にお付き合いしてくれますか」
『……、はいッ、』
私の返事にきんとき様は微笑んだ。
それに釣られて私も、はじめて心から彼に微笑みを見せた。
するとすぐ視線を逸らされて
どうしたのかと問うと、いや何でもないよ、と返される。
口元に手をやるきんとき様は
なんだか照れているような気がして、愛おしさが込み上げた。
『……大好きです、きんとき様。
……………大好き、きんちゃん。』
あの頃言えなかった想いも一緒に、
私はきんとき様に言葉を紡いだ。
きんとき様は、あーもうホントに…、と息を溢した後
私の身体をぎゅうっと抱き締めた
「もう絶対、離さないから」
耳元を刺激する彼の芯の通った声は
更に鼓動を加速させていくばかり。
でも、
『私も、もう2度と、離れたくない…です』
彼の前では何故かものすごく、素直になれた。
伝えたい気持ちがあることの幸せさを
私は彼の腕の中で噛み締めた
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٩( ᐛ )و - 一気読みさせてもらいました！すごい美しい物語で…語彙力が溶かされました()心情の描き方がすごく柔らかくて細かくて心にくるものがありました！この物語に出会って楽しかったです！ (2022年12月23日 17時) (
レス) @page42 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
ゆー(プロフ) - あずきさん» コメントありがとうございます…！！！わあああ嬉しいです…！！！！これからも頑張ります^^ (2022年9月30日 20時) (レス) id: ad479b9abd (このIDを非表示/違反報告)
あずき - 完結おめでとうございます！！これからも応援させてください~！！⸜🙌🏻⸝ (2022年9月30日 19時) (レス) @page43 id: fed7a00a2d (このIDを非表示/違反報告)
ゆー(プロフ) - せなさん» コメントありがとうございます!めちゃめちゃ嬉しいです‼︎頑張ります^^| (2022年8月6日 2時) (レス) id: ad479b9abd (このIDを非表示/違反報告)
せな(プロフ) - めっちゃくちゃ好きです...。。更新頑張ってください！ (2022年8月2日 1時) (レス) @page15 id: 4799d8c49a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆー | 作成日時：2022年7月23日 17時
