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「これ……」


恐らくあの子が置いたであろうシートが商品の下に敷いてあった。
そしてそのシートの端に小さく文字が書かれていることに気がつくと俺はすぐにエレベーターのボタンを押した。


「あ、あの、!待ってください!」


自転車に跨り次の目的地があるのか携帯を自転車にセットした彼女を出発ギリギリで引き留める

えっと…?と彼女は
必死になってる俺を見てキョトンとしていた。


「あ、お、俺、902号室の、黄原です。
さっき届けてくれた、結城さん…ですよね」


俺がそう言うと、
彼女は、あぁ!とでも言いたげな表情を浮かべる。


「これ、あの、全然俺、気にしてないんで。
寧ろその、冷たくしちゃったかなって反省してたっていうか」


俺は商品の下に置いてあったシートを持ちながら話した

少しの沈黙が訪れる。

うわ失敗したかも、なんて思ったけど暫くして、彼女の方から
あの…と声が掛かった。


『それを伝える為にわざわざ……?』

「あ、はい。すみません、忙しいところ引き止めてしまって」

『あぁいえ。とんでもないです』

「あっ、あの、ちょっとだけ待ってて貰ってもいいですか?」

『え?』

「ちょ、急ぎますんで、!」

『え、あ……』


俺はまたもや全力ダッシュで家まで戻った。
そして救急箱から絆創膏を取り出せば、直ぐに引き返した。

彼女の為になることならば、何でもしたかった。
それがあの日俺がしたことの償いになるなら、と。


「すみません、!お待たせしました」

『あ、はい、えっと…?』

「これ」

『絆創膏…?』

「あぁその、怪我が、見えたから。
あ!全然!要らなかったら捨てちゃって大丈夫なんで、!」


ぱちぱちと瞬きをした彼女の純粋な瞳が
俺の羞恥心を掻き立てる。

はっず。これはっず。

今直ぐ逃げ出したい気持ちでいっぱいだった時
彼女が、小さく笑った。


『黄原…さん、

  ありがとうございます』


初めて見た彼女の笑顔。
それは信じられないくらいに眩しくて、綺麗で、
直視出来ないものだった。


「あっ…あの、仕事の邪魔してすみませんでした、ほんと。
なんか言われたりしたら、俺のせいにして貰っていいんで、」

『そんなことしないですよ。
此方こそ貴重なお時間とお気遣い頂きありがとうございました』


彼女はもう一度俺にお礼を言うと仕事に戻って行った。

彼女が見せてくれた笑みを思い出しては口角が上がる。


また会えたら良いなとか思う俺は、

変なのかな。


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作品ジャンル:恋愛
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すみれいん(プロフ) - ゆーさん» お返事ありがとうございます!!最新話の8でもう既に『あ……ぁぁぁ(発狂)』となりましたありがとうございます。いやいやいや、もどかしい…早よくっつけ!!あー!甘い!と鼻息荒くなります。 (6月23日 4時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
ゆー(プロフ) - すみれいんさん» コメントありがとうございます‼︎wtではありませんが、キュンキュンできるような作品になるように更新頑張りますね^^ (6月21日 4時) (レス) id: ad479b9abd (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - wtじゃないなら読まんでいっか…と思いましたが読んでみるとめっちゃ続き気になって読んで良かった…のいいお話に出会えてホクホクしております。これは、本当にとても続きが気になりなんかむずむずしちゃいました笑 (6月20日 3時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆー | 作成日時:2023年6月20日 2時

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