【沖田総悟】ホントこいつ気に入らない！

第三十三話 ページ34

『猫、猫…猫さーん！えっと名前なんだっけ…あ、三郎ーさぶちゃーん！！』



本日万事屋に来た依頼は猫の三郎探し。
数日前にいきなり消えたらしい。
黒くて、首輪は青で鈴が付いているそう。




『猫なんてなかなか見つかるもんじゃないのよ。すーぐ狭い道やら高い塀に登っ………ん？』




今鈴の音がした気がした。

耳をすませると微かに聞こえる。
……近い気がする。


足音を極力鳴らさないように鈴の音が聞こえる方へ近づく。

ほら。やっぱり、路地の方。




そーっと路地を覗くと黒い猫を派手な着物を着た男の人が撫でていた。
青い首輪と鈴確認。三郎だ。





『あの〜、その猫うちの…や、うちのじゃないか。うーん、なんというか…』

｢…………｣

『いや、あのその猫…』

｢…………颯希か？｣

『は、はい。そうですけど…ってどこかでお会いしました？』





私のことを確認すると深く被っていた笠を外した。





『たか…すぎぃ…？』

｢でっかくなったな颯希｣

『高杉？高杉だよね！！ほら！高杉って名前なのに身長はそこまで高過ぎないっていう…』

｢殺すぞチビ｣

『すみません調子乗りました』




長い前髪の隙間から除く目がこちらをギラりと睨む。少なくとも私よりは大きいので睨まれると怖いです。
元から目つき良くない方だしこの人。




｢ﾁｯ…父親に似て常識ってもんを知らねェのか。年上には敬語だろーが｣

『私お父さんと違って常識人だと思って今まで生きてたんだけど』

｢それはねェから安心しな｣

『安心できません』





お父さんは知らないかもしれないが、高杉とは何度かこうしてあったことがある。

なんでお父さんが知らないのかというと。
物心ついた頃から、…多分５歳くらいのときに会ったんだけど、｢俺と会ったことは銀時には言うな｣と言われたのだ。

わざわざ言う事でもないし、そう言われてからは言わないのが普通になっている。

それに昔はよく昔話をしてくれて面白かった。私の知らないお父さんが知れてよかった。でもたまに深入りして聞いてしまうと口を閉じられるので深入りはしない。触れてほしくない所の一つや二つあるかもしれないが本当にいいところの時はムズムズするが、耐えています。





『その猫、飼い主がいるの。私に渡してもらえる？』

｢お前動物に嫌われてんのに猫抱けるのか？｣

『失礼な。猫くらい…』




そう言って猫を高杉から猫を受け取ると手首と手のひら引っかかれて逃げられた。

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