第三十二話 ページ33
けっきょく一睡もせずに朝が来る。
まだ陽の光が弱いのであまり眠たくはならない。
今日もいつの間にやら日課になったお菓子作りをして篠波の所へ持ってゆく。
今回はフルーツタルトにしてみた。
まあ、それも無闇に砂糖を使った甘い物より
果物などの甘味を生かした方が体に良さそうという勝手な考慮だが。
早速、生徒会長室の方に向かってみると夜中に会った変な男が閉め出されていた。
悠「会いに来た瞬間閉められるとはな…」
ブツブツと一人で何かを呟いてる男。
この人色んな意味で危ないな…とか思って立ち去るまで物影に隠れる。
やっと男が何処かに行ったので俺は生徒会長室に入った。
夜「おはよう…今日のお菓子持ってきた…」
寐「おはよう、いつもありがとう夜鷹。そうだ…!貴方もここでお茶して行きなさいよ」
何か思いついたようにハッとしたあと俺にそう言った。
夜「え…!? いや…俺の事は気にしなくても…」
俺の意思は完全に無視らしい。
寐「結羽、お茶の準備をして頂戴」
結「はーい、わかりました」
とても楽しそうにニコニコの結羽。
待つこと10分程度で紅茶(俺には珈琲)を用意してくれた。
均等に切り分けられるフルーツタルト。
夜「……………」
食べた方がいいのか?
自分で作っておいてアレだがこのフルーツタルトは相当甘い。
寐「食べないの?」
とても不思議そうに聞いてくる。
結「食べないんですか?」
結羽はとっても楽しそうに聞いてきた。
俺が甘いのが苦手と知っているくせに結羽のやつ…。
夜「た、食べるよ…」
一口タルトを口に含むと…甘い、とにかく甘い。
俺はすぐに珈琲を口に入れる。
夜「…!?」
珈琲を飲めば甘さが緩和されると思った。
しかし…現状は違った、何故か珈琲が甘い。
夜「げほっ…げほっ…!」
甘すぎてむせ返る。
結羽の方を見ると本当に知らないみたいで俺は残る人物の方を見た。
寐「そのままだと苦いでしょう?」
どうやら篠波が入れたらしい、しかも親切のつもりで…。
夜「あ、ありがとう…。でも、苦いのが好きだから次からは入れなくていいよ…」
とりあずその場は結羽に水を用意してもらったことで俺は何とかしのいだ。
たかがお茶会でとても疲れた気がする。
そのあと結羽に大爆笑されからかわれたのは言うまでもない。
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作者名:シア@卯月 雛菊余接 | 作成日時:2014年3月21日 22時