第十話 ページ11
何か放送が聞こえて目が覚めた。
夜「…ん?」
目の前には執事服の男。
結「誰かわかります?」
ニコニコとわざとらしい笑みを浮かべる。
夜「結羽…?」
結「はい、正解です。寐莠お嬢様がお呼びですよ、これで7回目のアナウンスですね」
今、流れている放送を示しながら言った。
夜「7…」
その回数に少し驚きそして呆れる。
結「随分と長い間寝ておられるのですね」
夜「…いつから見てた」
結「そうですね。30分おきのアナウンスなので…およそ3時間前からですかね?」
如何にも楽しそうな笑で俺に語りかけてくる。
夜「なら起こせよ…」
結「いえ…気持ちよさそうに寝ていたのでね、つい…」
その様子は絶対にわざとだと俺は確信した。
夜「生徒会長は俺と昔会ったことがあるのか?」
結「えぇ、だから呼んでるんですよ放送で」
こいつ多分、旧校舎の時から俺が誰か気づいてたな…。
夜「昔から変わらずいい性格してるんだな…あんた」
結「貴方も昔と変わらず能力に飲まれてるんですねぇ…」
先ほどと同じような口調だが、あからさまに違う空気が俺たちの間に流れた。
夜「何が言いたい?」
結「そうですねぇ、貴方もお嬢様も昔と変わったということですかねぇ?」
意味深な発言をする結羽。
結「まあ、貴方の場合は深まったというべきですか?」
夜「…生徒会室に案内してくれ」
俺は嫌な流れを断ち切るように言った。
結「まぁ…せいぜい壊さない程度には抑えといてくださいね。昔みたいにされると迷惑なんで」
どこまで知っているのか知らないのか掴みどころがない奴。
結「では、ご案内します」
そう言った彼にはもう先ほどのような嫌な気配はしなかった。
俺は黙って結羽の後ろについて行くのだった。
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作者名:シア@卯月 雛菊余接 | 作成日時:2014年3月21日 22時