【文/ス/ト】シザンサスの花弁［1］ (ページ8)

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中島くんは施設の出らしい。

原作で知ってはいたが、実際に聞くことになるとは……

太宰「ふうん。君、施設の出かい」

敦「出というか……追い出されたんです。経営不振だとか事業縮小だとかで」

太宰「それは薄情な施設もあったものだね」

原作を知っていても、可笑しな話だ。

経営不振で、児童一人を追い出すとは思えない。

太宰「Aちゃんも施設を追い出されたのかい？」

『いえ、私は出稼ぎに親元を離れただけです』

実際にそうだ。

まず私は未成年ではないため、何かしら仕事をしていないと少し可笑しい。

国木田「おい太宰、俺たちは恵まれぬ子どもに慈悲を垂れる篤志家じゃない。仕事に戻るぞ」

中島くんが二人に職業を問う。

太宰さんが探偵だと答える。

国木田「探偵と云っても、猫探しや不貞調査ではない。斬った張ったの荒事が領分だ。

異能力集団”武装探偵社“を知らんか？」

武装探偵社と聞いた中島くんの顔色が明らかに変わった。

孤児院育ちの敦君ですら知っているのだから、本当に相当有名な職業なんだな。

そこから話は進み、武装探偵社の二人は中島くんに虎の情報を聞き出している。

中島くんの顔を見ると、本当に虎が恐ろしいと感じているのが見て感じる。

太宰「Aちゃん、敦君、これから暇？」

『予定は……無いですね』

敦「……猛烈に嫌な予感がするのですが」

背筋に何かが這い上がる感覚がした。

これは、もう原作加入から逃れられないね。

私は秘かに覚悟を決め、次来る原作のシーンを思い出すことに専念した。