兄妹でも、幸せになりたい。【竈門 炭治郎】

幸せって。26 ページ32

好きって、それって、つまり。

煉獄さんが、私に、好意を？

｢・・・なんでそんな、大事なこと。｣

ちゃんと伝えてくれないんだろう。

『帰ってきたら、君に伝えたいことがある。』

ああ、もしかして。

ちゃんと、伝えてくれるはずだったのかな。

馬鹿な煉獄さんだ。

鬼殺隊なんて、いつ死ぬか分からないのに。

・・・本当に。

｢っ、馬鹿だなぁ・・・！｣

勝手にいなくなったくせに、勝手に私達に鬼殺隊任せて。

勝手にいなくなったくせに、それなのに・・・！

｢カッコつけて、馬鹿じゃないの・・・！！｣

ぽろぽろと、抑えていた涙が溢れ出る。

ほんと、馬鹿だなぁ、煉獄さんは。

なんで、

私なんか好きになっちゃったんだ。

もっと、たくさん素敵な女性はいたはずなのに。

なんで、よりによって私なの。

『Aは、この世で1番素敵な女性だと思う！！』

『君は笑った顔が似合うな！！』

・・・なんだ。

私か気づかなかっただけで、煉獄さんは、ずっと想っててくれてたんだ。

なんで気づかないかなぁ、私。

ほんと、馬鹿だよ。

・・・ねぇ、煉獄さん。

貴方は今、天国にいるの？

もしそうなら、天国でまた、素敵な人を見つけてね。

そうじゃないと、私は。

自分に呆れて、涙を止めることが出来なくなるから。



｢・・・A。｣

｢・・・！！！｣

｢ありがとう、俺に恋を教えてくれて。｣

｢ありがとう、俺の側にいてくれて。｣

・・・そんなの、こっちの台詞です！

そう言いたいのに、なんで声が出ないんだろう。

夢の中なら、声くらい思い通りに出せるでしょう？

なんで、伝えられない。

｢・・・そんな顔をするな、A。｣

そう言われて、ぱっと顔を上げる。

｢言っただろう、君には笑顔が似合う。だから。｣

｢笑っていてくれ。涙は、君には似合わない。｣

そう言って苦しそうに笑った煉獄さんは、私の涙を拭った。

｢俺が君を泣かせてしまった。このまま泣かせ続けたら、俺はきっと罪悪感で押し潰されてしまう。｣

｢・・・俺は、君には笑っていて欲しい。ただ、幸せでいてほしい。｣

｢な。｣と言って微笑む煉獄さんの優しい笑顔に、心がキュッとなった。

ほんと、好きな子泣かせるなんて、悪趣味な人ですよ、貴方は。

煉獄さん。

｢・・・ありがとう、ございました！！！！｣

誰にも負けない大きな声でそう口にする。

勿論。

満開の笑顔を咲かせて。

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