兄妹でも、幸せになりたい。【竈門 炭治郎】

幸せって。25 ページ31

やっと着いたのは蝶屋敷。

この扉を開けたら、煉獄さんがいる。

いつもと同じ顔で、何食わぬ表情で、｢どうした、A！！｣って、くそでかい声で叫ぶ煉獄さんが・・・！！


｢・・・あ・・・。｣

そんな、情けない声しか出なかった。

そこに、私の知ってる煉獄さんはいなかった。

包帯でぐるぐるにされ、全身が真っ白になった煉獄さんの姿があった。

・・・これ、本当に、煉獄さん、？

あの、肺活量えぐそうな人が。いつも、どこ向いてるかわかんない人が。

・・・こんな、情けない姿に。

現実を突きつけられて、私はその場に膝から崩れ落ちた。

なんで、私、 いつも。

大好きな人が死ぬ時、一緒にいないんだろう。

なんでいつも、私だけ。

なんでなんでなんでなんでなんで。

・・・私が、弱いから？

私が、弱いから。一緒にいて、守ることも出来なかった。

私が、愚かだから。

頭を使って考えることが出来なかった。

私が、未熟だから。

私が、くそだから。

私が。

ああ、もう。

｢消えちゃいたい・・・。｣

｢・・・A。｣

聞き取れない程小さな声で呟いた時、後ろから聞き慣れた優しい声が聞こえた。

｢・・・おにい、ちゃん。｣

くるり、と振り返ると、そこには見慣れたお兄ちゃんの姿があった。

眉を八の字にし、唇を噛み締め、涙を堪えてるようだった。

悲しい、味。

・・・ああ、そうか。

この人達は、煉獄さんの死に直面したんだもんね。

そりゃ、私より辛いか。しんどいか。

・・・私だったら多分。

そのまま、消えちゃうよ。

｢・・・煉獄さんが、｣

静かな空間にお兄ちゃんの透き通った声が響く。

｢・・・Aに、伝言をって。｣

｢・・・私、に？｣

そう聞き返すと、お兄ちゃんは辛そうに、こくりと頷いた。

｢・・・煉獄さんが、体には気をつけて、安全第一で、これからも鬼殺隊を支えて欲しい、と。｣

安全第一って。誰が言ってるの。

｢・・・それから。｣

｢・・・Aのことが、好きだった、と。｣

｢・・・え、？｣

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