黒い靄 ページ18
〜shima side〜
うらたさんからの説教が終わってリビングに戻る途中、ふわっとしたいい匂いに包まれる。
キッチンを覗くと、Aがセンラさんのエプロンをして何かを作っていた。
「何作ってるん？」
「お楽しみ。」
フライパンにはケチャップライスが野菜と共に炒められていた。
「てゆーか、なんでセンラさんのエプロン着とるんよ」
「私エプロンないもん」
「……」
何故かいらっ、として、それをかき消すようにAに後ろから抱きついた。
ふんわりした髪の匂いが鼻をくすぐる。
いつの間にか整えられていた髪の毛がきらきらとライトに反射していた。
「ちょ、危ないって、火傷しちゃう」
「俺吸血鬼やで？そんなんすぐ治るわ」
「そういう問題じゃなくて……」
つんつんした口調だが、耳はほんのり赤く染っていた。
ふー、と息をかけるとビクッと肩が揺れた。
面白くて、耳を甘噛みしてみた。
「ひ、ぁｯ、!?」
「えぇ声出すんやね」
「……それセンラさんにも言われたんだけど。」
ﾁｸｯ
黒い靄みたいなのが胸の辺りをぐるぐると渦巻いていた。
なんで俺と一緒に居るのにセンラさんの名前出すん？
エプロンなんてなくてもいいのになんでセンラさんのを使ってるん？
声に出したいものは喉につっかえて、変わりに“血が飲みたい”という欲が出た。
なんの前触れもなく首筋に向かって牙を立てた。
「っい”ｯ……、な、んｯ!?」
「っふ、、ん、ｯ……」
「ま、しぃ、ぃ、やｯ」
そう、それでいい。
俺の名前を苦しそうに何度も呼べばいいんだ。
予想以上に血は甘くて、止まらなくなりそうだった。
でも、目の前には熱くなったフライパン。
そろそろやめてやろうと思い牙を抜く。
「ど、ゆうつもりｯ、？」
「俺かて知らんわ、あほ」
「ｯはぁ!?」
噛み跡は見える位置についていた。
キッチンを出て何事も無かったようにリビングに向かった。
……さっきのはなんや？
さっきのは誰や？
俺の中に知らない俺がいるのが凄く怖かった。
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ての(プロフ) - Naoさん» ありがとうございます！頑張りますね、！ (2019年11月21日 22時) (
レス) id: 8747774e09 (このIDを非表示/違反報告)
Nao(プロフ) - 今までのアルバムのソロ曲の歌詞が出てきて、その歌詞のおかげでどんな状態なのかもよくわかって、すごく読みやすいし、面白いです！更新頑張ってください！応援してます！ (2019年11月21日 16時) (レス) id: b92cb2f456 (このIDを非表示/違反報告)
ての(プロフ) - ミトさん» 嬉しいです！ありがとうございます！ (2019年11月18日 23時) (レス) id: 8747774e09 (このIDを非表示/違反報告)
ミト - 初コメ失礼します。 読んでいて、すごく面白かったです!続き楽しみにしてます。 (2019年11月18日 23時) (レス) id: d0ac5e5cac (このIDを非表示/違反報告)
ての(プロフ) - Naoさん» 気づいて頂けて嬉しいです、ありがとうございます！ (2019年11月18日 22時) (レス) id: 8747774e09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ての | 作成日時：2019年11月17日 21時
