みんな真っ赤 ページ14
〜ura side〜
「ん、何度？」
「…………36、2度」
「……貸せ」
覗くと、38.6度。
シャレにならない高さにもはや溜息すらつかない。
「なんでちゃんと髪とか拭かなかったんだよ」
「そっちよりも踵の方が痛かったの」
「…こんなに熱あっても言い返せる元気はあるんだな」
「うるさいたぬき」
「あぁ!?」
「ｯｹﾎｯｹﾎｯ、…っふぅ……」
涙目になって苦しそうに天井を仰ぐそいつは綺麗だった。
額に乗せた、濡れたタオルは直ぐに熱で熱くなる。
いちいちキッチンと部屋とを行き来するのを面倒だから、桶に水を張って持ってこようと風呂場に向かおうとした。
ベッドから腰を浮かせる、と。
「……なんで行っちゃうの」
服の裾を掴まれていた。
「行っちゃだめ、、うらたさん、……」
鼻声で、初めて俺の名前を呼ぶそいつは今にも消えそうだった。
「っ、すぐ戻ってくる、待ってろ」
頭に手を当てると、気持ちよさそうに目を伏せた。
桶を手に戻ってくると、そいつは俺を見てに、っと笑った。
「……あのね、うらたさん、」
「ん、？」
「私ね、ちょっと勘違いしてたかも」
水を絞りながら話を聞いていた。
「吸血鬼って、優しい人もいるんだね、」
なんて、綺麗な透き通った瞳で俺を見るんだ。
「…なぁ、あいつらのこと、どう思う？」
「うーん、…まーしぃは、変態。ド変態。でも、きちんと周りが見える人。きっと、みんなが大好きなんだと思う。」
ド変態で笑いそうになったのはきっと共感できたからだ。俺は悪くない。
「さかたんは、犬っていうか…弟っていうか……でも、よくわかんない。1番掴み所のない人かも。だけど、1番絡みやすい人。」
「センラさんは、大人っぽくて、余裕たっぷりに見えた。でも、笑顔がすっごく子供っぽかった。私はあのセンラさんが好き。」
「……そ。」
「うらたさんはね、最初、なんだこいつ、って思った。でも、ちゃんといい人で、優しい人。」
話をする時、必ず目を見て話してくれるこいつは、口元が緩んでいた。
「…熱あるんだから、寝ろ」
「ん、」
数分後、直ぐに規則正しい呼吸が聞こえた。
1度廊下に出ると、他の3人が立っていた。
しかも、顔を真っ赤に染めて。
「…顔真っ赤」
「うらたさんに言われたないわ」
「あれ言われて平常心でいる方が無理。」
「せやなぁ、」
「じゃあ、センラはAにお粥作ってきますよ」
早く治せよ、と心の中で呟いた。
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ての(プロフ) - Naoさん» ありがとうございます！頑張りますね、！ (2019年11月21日 22時) (
レス) id: 8747774e09 (このIDを非表示/違反報告)
Nao(プロフ) - 今までのアルバムのソロ曲の歌詞が出てきて、その歌詞のおかげでどんな状態なのかもよくわかって、すごく読みやすいし、面白いです！更新頑張ってください！応援してます！ (2019年11月21日 16時) (レス) id: b92cb2f456 (このIDを非表示/違反報告)
ての(プロフ) - ミトさん» 嬉しいです！ありがとうございます！ (2019年11月18日 23時) (レス) id: 8747774e09 (このIDを非表示/違反報告)
ミト - 初コメ失礼します。 読んでいて、すごく面白かったです!続き楽しみにしてます。 (2019年11月18日 23時) (レス) id: d0ac5e5cac (このIDを非表示/違反報告)
ての(プロフ) - Naoさん» 気づいて頂けて嬉しいです、ありがとうございます！ (2019年11月18日 22時) (レス) id: 8747774e09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ての | 作成日時：2019年11月17日 21時
