ダンス（白） (ページ32)

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目を瞑ってしばらく経っても、殴られている感じはしない。

殴られた痛みではなく、何かに包まれている温かさがあった。

ゆっくりと目を開けるとその温かさの正体が分かった。

ラウだった。

ラウが助けてくれたのだ。

ラウール(あっぶねぇー。あとちょっとで当たってたね。ダメだよ。女の子なんだから暴力しちゃ。)

女３(あっ、ラウールくん、これは違うの！その女の人が私たちをいじめてきたから、暴力するしかなかったの！)

女の子は目に涙を溜めてそう言っていた。

見事に被害者面をしている。

女の怖さを改めて知った。

女１(そうだよ！その人が手を出してきたから私たちも手を出すしかなかったの！)

ものすごく睨まれている。

「違う」と否定しようとした時、それを察したのかラウが話してくれた。

ラウール(ごめんね。疑いたいわけじゃないんだけど、この人は何があってもきっと手は出さないんだよね。俺はそう信じてる。)

女２(だけど、その女が！)

ラウール(悪いけど俺、この人の彼氏だからさ、なんでも分かっちゃうんだわ。)

女の子たちは言い返せなくなっていた。

そんな女の子たちにラウは一歩近づいて、低い声でこう言った。

ラウール(この人をいじめるのは、君たちの自由だからいいけど。その前に俺がいること、忘れない方がいいよ。それでもいじめられる覚悟があるなら、いじめれば？)

女３(くっ、、、)

女の子たちはラウが怖かったのか、その言葉を聞いたら走って居なくなってしまった。

安心して心が軽くなった。

そして、ラウにお礼を伝えた。

私(助けてくれてありがとう。)

ラウール(いえいえ。遅いから心配しましたよぉ〜。無事で良かった。)

ニコッとした笑顔でそう言ってくれる。

そんなラウが最高にカッコよかった。

ラウール(確か、あの女の子たちペアダンスのコンテスト出ますよ。)

私(そうなの？)

ラウール(はい。だから、コンテストで見返してやりましょう！)

私(そうだね！)

ラウのカッコいい一面を知ることが出来たし、文化祭へのやる気に繋がった、いい一日だった。