episode6 ページ7
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少し振り返り、周りに聞こえないような小さな声で彼は言う
「酔った。少し休みたいんやんけど」
ちらりと顔色をうかがう。あまり顔色は変わってないが、言葉の端々に不機嫌オーラが伝わってくる。まあ、最初から人に囲まれてたし、疲れてるんだろう。
だがまあ、それを言い出しにくい雰囲気ではある。実をいえば直哉様はあまりお酒は得意な方ではない。酔わないよう訓練はされてるが、苦手なものは苦手だし、そもそも体質なのだからどうしようもない。
かといって、下戸であることを言うのもはばかれる。
なるほど。酔ったから休みたいと言いづらいから、何か適当に言い訳して自分をここから連れ出せ、ということか。
「扇様がいらっしゃいましたが、お会いになりますか?」
無論、建前である。当主様の兄弟である禪院扇様がそろそろいらっしゃると先程厨房で誰かが言ってただけだ。
だがまあ、別にそれで構わない。どうせ、会う気もないのだから。
「そやな。真希ちゃんと真依ちゃんは来とるん?」
「おそらくいらっしゃらないかと」
ごく自然な流れで、直哉様は席を立つ。
宴の間からしっかりとした足取りで出ていく彼を“酔っている”と思う人はいないだろう。
私も座敷にいた人達に一礼して、直哉様の後に続いた。
「疲れたわ」
部屋から出た瞬間、こちらを振り返って愚痴を言う直哉様。
「自室へお戻りになりますか?」
「あー…ちょっと遠いな」
ここから直哉様の寝室までは少し距離がある。気分が悪いのだろうし、あまり歩かせるのは確かに良くない。途中で吐かれても困る。
「でしたら私の自室にしましょうか?少し休むだけなら問題は無いでしょう。ここから近いですし」
「そうやな。はよ休みたいし」
足取りもしっかりとしているが、やはりどことなく気分が悪そうだ。いや、気分が悪いそう、というか多分顔に出てないだけでかなり酔ってる気がする。
散々呑まされたのだろう。
私だったらあんな強いお酒一口でも呑めば落ちる。人のこと言えないレベルで下戸なのだ。
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あい - めちゃめちゃ読んでて楽しかったです!!応援してます! (11月16日 19時) (レス) @page15 id: a6639cd8da (このIDを非表示/違反報告)
jやよ - これからの展開に想像しながら、更新待ってます! (2023年1月3日 10時) (レス) id: 7c8c23da7c (このIDを非表示/違反報告)
名無しの中学生 - 最初から読みました続き楽しみに待っています! (2022年3月7日 18時) (レス) id: 2f57e3c309 (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - 初めから読みました!!めっちゃ続きが気になります!!更新頑張ってください! (2021年5月24日 15時) (レス) id: 61644e4b7a (このIDを非表示/違反報告)
かめきち - 神ですか?一回読んだだけで大好きです!応援してます (2021年5月6日 22時) (レス) id: d0a08c8863 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皐月 | 作成日時:2021年2月27日 19時